「うん。冷静に考えると、とんでもないことを色々しでかしてるぞ。俺」
「マスターじゃし、是非もないよね。で、何したんじゃ?」
「返答次第ではこの道具の試運転に付き合ってもらいますよ。センパイ」
「道具の試運転くらいなら別にいいけど……いやまぁ、エリちゃんとネロのクリスマス特別ライブがあったなぁって思い出して」
工房にて、即座に首を絞められ関節を極められるオオガミ。
少し前にも少し前にも同じようなことをしたにも関わらず、惨劇を繰り返したオオガミへの制裁である。
「うぎぎ……死ぬ。死ぬ死ぬ……死……ゴフッ」
「ぬわっ! 流石に力を入れすぎたか……もうちょい苦しませたかったんじゃが」
「ノッブ。もっと手加減してあげてください。こんなのでも、一応マスターなんですから。大量殺戮兵装のやる気をぐ~んと上げてても、大事なセンパイ……ちょっともう少しイタズラしておきましょう」
「言いながら手のひら返しとは恐ろしいなBB。まぁ、儂も便乗するんじゃけどね」
気絶したオオガミの顔に落書きをしていくBB。同じようにノッブも、オオガミの手足にびっしりとお経を書いていく。
「……ノッブ。もしかして、服を脱がせてまで書かないですよね?」
「えっ、そのつもりだったんじゃけど……止めた方がいい?」
「当然です! マシュさんやエルキドゥに見つかったら痛い目に合うのは確実。更には面倒なのがおまけ感覚でたくさん付いてきますよ! しかも割りと殺意込めて!」
「うっはなんじゃそれ面白そう。そんなこと言われたらやってみたくなるのが儂じゃよね」
「ちょ、冗談とかですまないと思うんですが! 知りませんよ。ノッブがそれで死んでも知らないですからね。工房とか壊されかねませんよ……!?」
「……あぁ、それは不味いな。上半身で止めておこう。足はセーフじゃろ」
「……だ、大丈夫ですかねぇ……?」
不安しかないが、なぜかノッブはとても乗り気である。
いつもなら便乗するBBだが、流石にそろそろ洒落にならないのが増えてきたこのカルデアで、SE.RA.PHのように暴れられない現状、あの集団は洒落にならないのをわかっているBB。
ノッブも分かっているが、なんだかんだ最終的にマスターが止めるので気にしていなかったりする。
何せ、基本回りが勝手に騒ぎ、被害者本人であるオオガミは楽しんでいたりするのだから、周囲の自己解釈で殺されるのは中々に酷い話だ。なので、被害者にしてある意味共犯者のマスターが止めに入る。
なので、大体それで決着が着く。もちろん、トレーニングルームを使っての大戦争も起こるが、基本はカルデア内での戦闘は行われない。平和である。
「よし。じゃあBB。儂はしばらくこれで遊んどるから、頑張るんじゃよ」
「えぇっ。いえ、まぁ、頑張りますけど……うぅむ、私も混ざりたいような、でも混ざったら殺されそうな」
「まぁ、アレを作ってる方が危険は低そうじゃよね。で、こっちはマスターイタズラが出来て楽しい、と。どうする?」
「うぐぐ……」
悩むBB。正直オオガミからしたら悩まれたくない悩みだが悩むBB。止めて欲しいと思うであろうオオガミは寝ている。よって止めるものはBBの理性ただ一つ!
BBが出した結論は――――
「……そもそもノッブの書いてるのがわからないということに気付いたんですがそれは」
「うむ。んじゃ、顔に適当な落書きをしてるのが一番じゃろ」
オオガミの顔に書かれる落書きが増えることで決着するのだった。
数時間後、起きたオオガミが書かれたものを見て硬直するのは、また別の話。
ち、違うんや……途中まではクリスマスライブライブについて書こうとしてたんです。そしたら、気付いたらオオガミ君を気絶させて耳なし芳一にしようとしてたんです……何を言ってるのかわからないと思うんですが、安心してください。言ってるこっちも分かりません。
キャラが勝手に動いたって奴です。