何となく、ぼんやりと、謎の違和感を感じていた。
誰かが呼んでいるような、そんな違和感。
「それで、結果がこれだったわけか」
「いやぁ…これはあれだ。これから地獄になる予感だ」
「余がおるではないか。何を心配することがある」
休憩室でのノッブとオオガミの会話に、彼女――――ウェディングドレスを着たネロが言う。
おそらく、呼んでいたのは彼女なのだろう。そう思えるほど、違和感と召喚されたタイミングが一致していた。
「マスター。ここで運が尽きる。そんな感じかの?」
「なに!? マスター! 運が尽きるとは、何があったのだ!」
「君が来てくれるという最高の幸運が消費されたからね。これはもう凄まじい幸運消費量だよ」
「幸運は消耗品だったのか…」
「なに、幸運は消耗品だというのなら、また手に入れればいいだけの話であろう! 余に任せよ!」
「ネロ様はそこまで出来るのか…!!」
「いやいや、そこまで万能なわけなかろう…」
胸を張り、無駄に自信満々なネロに目を輝かせるオオガミを見て、ノッブは突っ込みながらジト目で見る。
「さて。それで、余の部屋はどこだ? マスター」
「あぁ、そういえば何にも説明して無かったね。じゃあ、そこまで行こうか」
「うむ! お願いするぞ! マスター!」
二人はそう言って、休憩室を出て行く。
一人残されたノッブは、緑茶を少し飲んだ後、
「お主ら、何時まで隠れてるつもりなんじゃ…」
「アレが新しい敵なのね…」
「ネロが……ネロが来たわ…!!」
どこから出てきたのか、何時の間にかエウリュアレとエリザベートが現れ、椅子に座っている。
「ついに来たわね…超絶ヒロイン風の装備を纏った最強セイバーが…!!」
「ネロよ、ネロ! しかも、アメリカで会った方のネロ! あんなフリフリの、真っ白なドレスを着てる方のネロよ! 勝ち目なくない!?」
「さっきから何の勝ち負けの話じゃ…別に、気のすることもないじゃろ。どうせまだ戦闘に出ないし」
「何言ってるのよ。オオガミよ? 一度育てると決めたら全力で最終再臨までは頑張るマスターよ? 来月の中旬には戦力になると見たわ」
「やりかねないわ…マスターなら、普通にやるわ! 素材が揃わなかったアタシはスルーされたけど!」
「それは……お疲れ様としか言い様がないの…」
「ま、まぁ…いつか報われるわよ…」
途中から何故か自分にダメージが入り始めたエリザベートは頭を抱え、それをノッブとエウリュアレが慰める。
「とりあえず、茶々が最終再臨を迎えるまでは少し安心できるはずじゃ。先に茶々を育てるって言っておったし」
「あくまでもそれはオールの種火の話よ。セイバーの種火は使うわ。デオンよりも確実に優先されるはずだし」
「なんか…デオンをいじめてるように思えてきたんじゃが」
「デオンはほら、攻撃系じゃないし」
「どう考えても盾だから。良いのよ、そう言う扱いで」
「これが英雄格差社会って奴か…儂も注意せねば…」
デオンへの攻撃も酷いが、さらりとデオンを全力で叩くエウリュアレとエリザベート。その二人に戦慄を覚えるノッブなのだった。
ネロ様来たあぁぁぁぁぁ!! という叫びを基に作り、途中から不穏な気配を感じる私なのだった。
これはコラボの時に出ない予感がやばいですね。