「どうしてこう、とんでもない目に会うものかな。というか、召喚してもここって狭いから辛いよね……」
「後輩が倒れているというのに、ずいぶんと余裕だね君は」
ホームズの言葉に、苦い顔で返すオオガミ。
余裕があるというのは、場合によっては困りもので、この状況下ではじわじわと不安を煽ってきているようなものだ。
「正直、マシュには戦ってもらうつもりは無かったんだけどさ……マシュが疲弊したのは俺のせいだよ全く。誰か呼べれば良かったんだけど……」
「それはどうしようもない。召喚はこれからになるだろうね。だが、それさえ済ませてしまえばマシュ君に楽をさせられるというのは確かだろう」
「うん……それまで、マシュが戦わなくても良いならそれが一番……」
「あぁ、任せてくれたまえ。マシュ君のいない間、前線に出ようとも。まぁ、全てと言うわけには行かないだろうけどね」
「だよね……はぁ。ダ・ヴィンチちゃんも戦えないくらい小さくなっちゃったし、マシュは今までの半分以下まで弱体。頼れるのはホームズだけだっていうのに、当の本人は参戦出来ない可能性もあるし……あれ、詰んでる……?」
気付いてはいけないことに気付いたオオガミ。
ただ、詰んだと言いながらそこまで絶望していないところを見るに、本気でそうは思っていないのだろう。
続いた言葉からも、それを知ることはできた。
「……ねぇ、カルデアを氷付けにされた上で乗っ取られたってことは、年末企画用のアイテム丸ごと奪われてない?」
「そうだね、流石にそこまでは回収していない。だが、あれは一応使えないようにしてから来たから技術が奪われたりはしないだろう」
「あ~……なるほど~……完膚なきまでに止めを刺したわけですねぇ……さっすがホームズ先生……」
「ははは。そんなに褒めないでくれよ。照れるじゃないか」
「皮肉だと分かっていてその言葉を吐けるホームズ先生にはびっくりだぁ! シバキ倒してぇ!!」
割りと殺意高めに言うが、全く気にしないホームズ。平然としている辺り、やはり肝が座っているというか、度胸があるというか。
もしかしたら変人なのかもしれないが。
「まぁ、もういいや。年末はもう終盤。というか、もう年明けるし」
「いや全く、君の年末は基本怒濤の展開が多いね!」
「連続なだけだけとね!? もう年末は平和に過ごせないのは分かったよ! 来年は早めにやって撮影した後に、年末に皆で見ることにしよう!」
「季節感は重視して、冬にやるのが一番だけどね! 来年は楽しみにしているよ!」
一周回ってテンションが高くなった二人。
この二人を止められる者は、きっといないだろう。
えっと……カルデア出ちゃったんですけど……これ、どう見ても二部やっている間はカルデアに帰れないですよねぇ……改名するべき……?