「うぅむ、QPが足りない」
「えぇっ!! どうするの、マスター!」
情報通りなら足りているはずの種火と素材。
だが、必要QPは現在持っている量をを遥かに上回りそうな雰囲気。
ちなみに、アビゲイルが宝物庫案を出さないのは、単純に教えておらず、連れていってもいないからである。
その理由をオオガミに問うと、『うちの可愛いアビーを不良になんてさせません!』とのこと。再臨という最大の敵をどうするつもりなのだろうか。あと、あからさまに不健全な
オオガミが頭なので、悪い子一直線ではなかろうか。
「レベル90スキルマまでなら行けるはずなんだよ……ただ、その先の聖杯が問題なんだよ。聖杯だけでかなりのQPを持っていかれるからなぁ……!!」
「大変ね……でも、メルトリリスさんの為に頑張るんでしょう?」
「うん……まぁ、後少しだと思うしね! なんとかなるはず!」
出来るだけポジティブに考えるオオガミ。
とはいえ、そこまで大幅に足りないわけではないので、おそらくメルトリリスピックアップ当日までには間に合うだろう。間に合わなかったとしても、全力で回れば良いだけだ。気を張る必要もないだろう。
「マスターが大丈夫だと思えばきっと大丈夫ね。肩の力を抜いていきましょ」
「うむ……まぁ、全ては
「白銀の鍵は使えないけど、祈ってるわ。マスター」
そう言って微笑みかけてくるアビゲイルに、オオガミは心の中でガッツポーズを取る。ちっちゃい暴力集団(ナーサリーを筆頭)と違い、平和空間だった。
彼女達が再召喚されるまで、オオガミの平穏は続くのだろう。アビゲイルが再臨しなければ。
「それにしても……種火も結構ギリギリな感じだよね……一応オール種火を650以上は集まってるはずだけど、これで足りるかどうか」
「それなら、種火を取りに行きましょう。マスター」
「ん~……そうだね。今はいつもの二倍回れるし、QPは後で悩むとして、今は種火を回収しようか」
「えぇ、頑張るわ!!」
おー! と手を振り上げ、やる気を出すアビゲイル。
オオガミはそんなアビゲイルを微笑ましく思うが、昨日になってようやく彼女が凄い力持ちであることを知り、茨木レベルの力にを考え、怒らせることは最小限にしておこうと思っていたりする。
もちろん、そもそも怒らせるつもりなどないのだが。
「じゃ、レッツゴー!」
そう言って、オオガミとアビゲイルは種火を回収しに行くのだった。
すっかり忘れていた筋力ネタ。というか、耐久と幸運以外はバラキー以上じゃないかこの幼女。普通にパラメータ高い……でも、再臨させると不良になっちゃうからなぁ……これ以上ちっちゃい暴力集団を増やすわけには……しかも、今回は精神攻撃のプロですよ……