バレンタイン、始まったねぇ(温泉から出たらすぐですよ。すぐ。早すぎません?)
「う~ん……温泉から上がると、ここは空中庭園だったって事でいいと思う?」
「ま、それで良いんじゃね? ぶっちゃけ誰も気にしないと思うし」
「気にした方がいいと思うんですけど……あの、アビーさん。私だけ帰してくださいません?」
「えぇ……マシュさんももう少しいましょうよ。色々見て回りたいわ!!」
「この、何にも恐れていない感じがまた怖いです……!!」
アビゲイルに連れられて姿を消すマシュ。実質一般人となっている彼女だが、アビゲイルがいるのでなんとかなるだろう。
「で、オレらはどうするんだ? マスター」
「そんなの決まってるじゃん。設備強化でしょ。全力全霊を持ってしてね」
「……珍しくやる気だねぇ……」
やれやれと首を振るアンリ。当然、オオガミは気にしない。
そして、今回はアンリだけではない。
「よぅし。じゃ、ランスロットにも出て来てもらおうか」
「えぇ~? マシュに散々言われてる、あのランスロットか? もうちょっとマシなのはいなかったのかねぇ……」
「貴公は、私に何か恨みでもあるのか……」
颯爽と登場しようとしたところをアンリの何気ない一言で撃墜されたランスロット。
「おわぉ、真後ろにいたのか。ハハッ、そりゃすまなかった。別に恨みも何も無いけど、妙にマシュが言ってたことが耳に残っててな。ガラスの心じゃないことを祈ってるぜ」
「いえ、何の心構えも出来ていなかった私のミスです……カルデアでは何時いかなるときも不意打ちに備えなくてはいけない……また一つ、学びました」
「うっわぁ~……若干の皮肉も混ざってたはずなのに、ここまでしっかり返されるとなんとなく蹴り飛ばしてぇ」
「なんでアンリはそんな殺意持ってるのさ。積年の鬱憤を晴らすときが来たかのような清々しい表情で言ってるのも気になるんだけど? 後、ランスロットもそんな事学ばないで欲しい……理由はちょっと言えないけど」
まさか、ノッブとBBと一緒にイタズラするときの障害になるからなどと言えるわけもない。というか、言ったら確実に警戒されるというのは想像に難くない。
「まぁ、マスターがまた良からぬ事を考えていても、ランスロットという壁を一回通ってからオレに来るようになったな。これで準備が出来るようになった」
「えっ、私は壁なんですか?」
「肉壁……かな。アンリの」
「私の扱い……!! いえ、まぁ、良いのですが。それよりも、マスターが良からぬ事、とは、一体何をするのですか……?」
「そりゃ、色々だろ。疲れ果ててる奴を百階ある塔から投げ捨てたり、温泉に叩き付けたり、女湯に突撃していったり」
「何をしているんですか本当に! 特に最後!! 本当にやったんですか……!!」
「アンリがね。衝立に手をかけた瞬間に下から現れた触手に殴り飛ばされてたけど」
アンリが無惨に吹き飛んでいったのを、オオガミはしっかりと目撃していた。
当然、オオガミはその後リスクを考えて、塔を登って上から見ようと思ったが、出てきたときには既にこれだった。手遅れである。
「ま、サクッと行こうか」
「あいよ~。緩くいきますかねぇ」
「えぇ、薙ぎ払って見せますとも」
いつものようにしているオオガミとアンリ。
見慣れていないランスロットは、若干不安そうにするのだった。
バレンタインだl! チョコだぁ!!
……あれ? これ、実質的な個数制限ありません……?
そんなこんなで、開幕から女性皆無のバレンタイン編。
あぁ、今年のバレンタインはエウ様もノッブもBBもいないのか……後、うちの設定上使える女性キャラはカーミラ様……?