「はわ~……チョコレート工場、やっぱり大きいわねマスター……」
「何気に10棟も立ってるからね。というか、一応アビーの働いてるところだよね」
「受付をしているだけだから、あまり中には入らないの。だから、ここまで来るのは珍しいのよ」
「なるほど。まぁ、防犯上の問題もあるしね」
確かに、某チョコレート映画のような広さだと頷くオオガミ。ライオンさんが映画を撮ると言っていたが、本気なのだろうか。主に、出演メンバー的な意味で。
「アビーは元の映画、見たことある?」
「いいえ。私はあまり映画は見てないわ。マスターは?」
「一応見たことあるけど、あんまし憶えてないんだよね。後で見直そうか」
「えぇ。私も見てみたいわ」
いくつかの試食チョコを食べつつ、二人は工場内を突き進んでいく。
いつもの如く後ろをついて行っているアンリとマシュは、所々の備品をチェックしながら進んでいく。
「二人とも、表上の目的忘れてますよね……」
「まぁいいんじゃねぇの? アンタもひっそりと何かを準備してるんだろ?」
「それは……まぁ、そうなんですけど。というか、なんで知ってるんですか」
「そりゃ、見てりゃ分かる。マスターが知ってるかどうかは分からんがな。なんだかんだ、気付いてても黙ってたりする奴だし」
「忘れっぽい人ですからね。うっかり忘れちゃってるのを願ってます」
「ハハッ。案外酷いなアンタ」
「いえいえ。アンリさんほどじゃないです」
「おっ。言ってくれるじゃねぇの」
不敵に笑い合う二人。さり気に、今回の見回りで一番友好度が上がっているような気がする。
「じゃ、もう少し見たら、次の所に行こうか」
「えぇ、私はそれでいいわ」
「一応点検部分は見終わったので、いつでも大丈夫です」
「おぅ。好きなタイミングでよろしくな~」
* * *
移動して、警備中のゴーレムを見に行く四人。
一番楽しみにしていたアビゲイルは、ゴーレムによじ登って肩の上に乗るのだった。
「やっぱり高いわ! このゴーレムさん、チョコだからもっと大きくできるのよね!?」
「出来るとは思うけど、限界はあると思うよ?」
「むぅ……それはしょうがないわ。でも、もっと高く大きくしたら、もっと大きなものも持って行けたりすると思うの。どうかしら!!」
「まぁ、警備の観点的にも、大きさによる威圧感はあるしね。大きいってだけで利点だよ。認めてくれるかは別だと思うけど」
「出来ないのなら仕方ないのだけれどね」
ゴーレムの上のアビゲイルを見上げながら、オオガミは大きくできるか悩む。
「それで、出来んのか? 巨大化とか」
「さぁ……? 私の専門じゃないですから……ゴーレム担当の方に聞かないと無理ですかね……?」
「なんだゴーレム担当って……」
果たして大きくできるのか。それは、今の所誰にもわからない。なので、とりあえず後で聞いてみる事にするのだった。
ハンス君としゅてんちゃんとか言う、明らかに人選ミス感否めないおっそろしい話……ちょっと見てみたい私がいる……まぁ、このレポート見たの一昨日くらいなんですけどね。