「いつの間にか現れたり消えたりしてますよね。向こうで何があったんでしょうか…」
「私は全く分からないわ。というか、貴女も何度か向こうに行ってるでしょう?」
「そ、それはそうなんですけど…」
歯切れの悪い返事をするマシュ。エウリュアレは少し気になる。
「何があったの?」
「いえ……初めて向こうに行った時は、先輩をセンパイ呼びする憎たらしいあの人との戦闘だったんですけど、まさか総戦闘ターン数が41ターンという驚異的数値に…」
「あ~…耐久したらそうなるわよね。特に体力が多い敵は」
「はい…本当に、辛かったです……ギリギリの時も多かったので尚更」
「いつものあのパーティーは基本攻撃力が無いから仕方ないじゃろ。ターンは異常に伸びるに決まってるじゃろ」
「あ、信長さん」
いつからか後ろに立っていたノッブは、そう言った後片手に持っていたリンゴジュースをストローで飲み、マシュの隣に座る。
その時に、もう片方の手に持っていた大福を机の上に置く。
「つか、途中からネロが帰って来とったんじゃが」
「それは…あれですよ。コストと性能で判断したらたぶんそうなったんですよ…」
「残酷な事じゃ…パッションリップによってすべて奪われたの…」
「コスト自体が足りないのも原因の一つでしょ。効率としては申し分ないんじゃない? まぁ、そのうちネロの代わりに誰かが戻ってくるわよ」
「そうですね。先輩の事ですし、ネロさんを意地でも入れますよね」
「流石マシュ。よくわかってるじゃない」
「代わりに戻ってくるのはナーサリーかのぅ…全体宝具は全体宝具でも、攻撃力が低いし」
「可能性は大きいわね。というか、それ以外ないんじゃない? ネロが戻って来たのがコストの問題なのだとしたらの話だけど」
当然の様に大福を取っていくエウリュアレ。もぐもぐと食べるエウリュアレにノッブが頬を引きつらせるが、今回は取られることを前提に多めに取ってきていたので、ため息を吐くも、なんとか平静を保つ。
もちろん、ノッブもそれを食べるのだが、やっぱりどうも釈然としない。
「しっかし…まさかパッションリップを当てるとは……ここ最近の運、どうなっとるんじゃ」
「いつその幸運が反転するのか、気になるわね」
「縁起でもないことを言わないでくださいよ、エウリュアレさん…」
「あら。私はいつもこんな感じじゃないかしら?」
「お主はホント良い性格しておるよ」
「フフフ。お褒めの言葉、ありがとう」
「褒めとらんわアホ」
ノッブは冷たい視線でエウリュアレを見るが、当の本人は微笑むだけで、心の底を覗かせない。
「とりあえず、私はネロさんの様子を見てきますね。また後で」
「また後で会いましょう」
「おぅ。また後での」
マシュはそう言って休憩室を出て行き、残ったノッブとエウリュアレは第六次お菓子争奪戦争は始めるのだった。
とりあえず、その戦争は案の定エルキドゥによる両成敗で決着した。
ということで、パッションリップが当たり、且つチップ交換の概念礼装を全部交換終わりました!
あと、今回はカルデアサイドとマスターサイドで交互にやっていこうと思ってます。マスターサイドで出てくるサーヴァントは編成の中にいるキャラ限定って感じで。
はたしていつまでネタが続くのか不安ですけどね。