「こう、たまに食べる健康度外視料理ってのも良いよなぁ~……」
「えぇ、とっても美味しいわ……」
「先輩……この二人がこういう発言をしていると、不安になってくるのですが……私、なんだか食べない方がいい気がしてきました」
幸せ感全開のアンリとアビゲイル。
その二人を見て、むしろ不安になるのは、普段の行いが原因か。
だが、その原因はどうということはない。オオガミがふと思い立って、カップ麺を出しただけのことである。
「別に毒とかが入ってるわけじゃないよ……単純に、栄養が偏ってるってだけ。毎食じゃなきゃ問題ないよ」
「なるほどそういう……」
「えっ。こういう料理が今度から出てくるんじゃなくてか?」
「そうなのマスター!?」
「自分達が問題ないからってそれは流石に許さないよ。そういうこと言う子には一つまみの塩を混ぜた水を入れたコップだけを渡しますからね」
「悪魔かマスター。腹は膨れないんだけど?」
「喉が潤うようで実際は喉を渇かしに来てるわ。マスター、恐ろしいわ……!!」
ちょっとした工夫で出来る地獄のような苦しみである。
なお、実際にするかと聞かれると、見ている方が辛いので朝やって止めるのだろう。
「あの、先輩って、たまに仕返しを考えないときってありますよね……いえ、いつも考えてないとは思ってるんですけど」
「マシュ。さてはバカにしているな? 心はガラスなんだからやめてくれマシュ……」
「ガラスと言っても、耐爆ガラスですよね。割れそうにないですし、自己修復出来ますよね」
「うわぉ。強靭無敵なガラスハートとは、もはやガラスハートじゃねぇなそれ」
「殴っても壊れなさそうだわ……」
「人のことを好き勝手言いやがるぜこの三人……」
どうしてくれようか。と考えるが、今はまだ争うべきではないと思い直すオオガミ。そう、戦いは皆が帰ってきた後でも問題ないのだ。
「……っていうか、仕返しって何さ」
「えっ? いえ、思ったことをそのまま呟いていただけなので、私は何も考えていませんけど?」
「ふむふむ……つまり、アンリは何かを企んでいる、と」
「オレ限定かよ!?」
「そりゃ、アビーが何か企んでても、現状阻止の仕様がないからね。アンリに矛先を向けるのが生存のコツだよ」
「対策が取りやすいオレを標的にするとか、考えるじゃねぇかマスター……!! 泣くぞ……!?」
あくまでも、アンリに勝てると言う意味ではなく、アンリなら対策して逃げ切れる可能性が高いというだけの話である。
流石のオオガミも、転移門相手には分が悪いとか、そういうレベルの話ではなかった。
「さて……カップ麺の楽なところは、食べたら捨てるだけで良いというところです。あ、汁は流しておくように。飲めるなら飲んだ方がいいけど、苦手な人は苦手なので。ごちそうさまでした。ゆっくり食べててね」
「ごちそうさまでした。美味しかったわマスター。他にもこういう料理はあるのかしら?」
なんだかんだ騒ぎつつも、ちゃんと食べているオオガミ達。ただ、途中から話していたマシュとアンリは、未だ食べ終わっていなかった。
「さりげに自分はしっかり食べていやがる……」
「ま、まぁ、急ぐ必要もないので良いですよ」
「まぁいいんだけどさ……」
そういいながら、二人は再び食べ始めるのだった。
カップ麺の話と思わせて、マスターの精神強度の話してた……
ち、違うんや……カップ麺の話と言うよりも、ラーメンの話を書きたかったんや……