「なんっだあれ!! 無茶苦茶だろ!?」
「私……ちょっと、自信を無くしてしまったわ……」
「無理です……どうしますかマスター」
「……いや、引ける訳ないじゃん? 絶対倒すよ?」
屋上にて。何度か強敵を倒した後、高難易度が襲い掛かってきた。
未だ、倒せない凶悪な敵。
「あ~……アレ、倒せるのかぁ……? 無茶言うねぇ……」
「そうは言っても、やるしかないわ。即死……あれを何とかしないと……」
「チャージはバスターで落とせますし、それで何とかするしかないですよね……」
「それでも無茶は無茶よ。はぁ……どうしましょう……」
体育座りをして、不満そうな顔になるアビゲイル。
「はぁ……マスターも、酷な事を言うのね。でも、きっと何とか出来るわ」
「まぁ、勝てないわけじゃないと思うしなぁ……令呪切らねぇのか?」
「令呪は出来れば使いたくないんだけど……流石に、令呪使えば勝てる気がするし……」
「戦いに勝って、勝負に負けたって感じね。何となく分かるわ」
「基本令呪はあんまり使いたくないですよね……昔は全力で使ってましたけど」
「せ、成長したって事で……」
昔と今は違うのだと主張するオオガミ。
令呪の効果は、なんだかんだと言って優秀なのだった。三画切って勝てない相手は、基本どれだけ頑張っても勝てないというのがオオガミの判断基準だった。
「それで……どうする? 何度挑む?」
「だから、勝てるまでだって。後ろにいる奴は、即死が効くみたいだしうまくいけば何とか出来るけど、そこからが本番だよね……」
「えぇ……そうすれば、バスターで殴るだけね……」
アビゲイルはそう言うと、立ち上がって鍵を出す。
「マスター、もう一回よ。何度でも勝てるまで挑んで、絶対倒して見せるわ」
「簡単に言うなよアビゲイル。勝てるまで何度でも戦うとか、裏を返せば、勝てるまで何度も倒されるって事じゃねぇか。痛いぜ絶対」
「フフフッ。別に関係ないでしょう? 私たちは英霊だもの……マスターさえ生き残っていれば、何度でも帰って来れるわ。本来は違うとしても、今ここではね。さぁ、行きましょう?」
「無茶苦茶いうなぁコイツ。まぁいいぜ。行こうかマスター。再戦だ」
「が、頑張ってくださいね先輩」
「うん、行ってくるよマシュ。後10回戦ったら帰って来るね」
「10回は負けるのね……」
「10回も殺されるのか……」
ドヤ顔で進むオオガミに、やる気だったアビゲイルとアンリは苦笑いになってついて行く。
なお、それを見送ったマシュは、果てしなく不安になるのだった。
後ちょっと……即死が刺さるまで撤退を繰り返して、即死が刺さってからが本番と言う。無理だろコレ……