危険人物召喚の可能性(絶対呼んじゃダメよ、マスター)
「うっわぁ……危ない人だぁ……」
「ね、ねぇマスター? 絶対に、絶対に呼んじゃダメよ? 私、死んじゃうかもしれないわ……!!」
「相性ってあるよなぁ……ぜひ呼んでくれ。コイツを制御できるのが欲しい」
「アホアンリ。呼んだら全員洗脳ENDだっての」
「……ガチでやべぇ奴じゃん」
ピックアップ。1200万という事で、一体誰が来るのだろうかと気になっていたが、その内容を見て、オオガミは苦笑いで石を再びしまう。
流石に、名前を呼ぶのすら怖いような人を呼びたくはない。
「……でも、こっちじゃなくて、リップの方ならいいんじゃねぇの? 感動の再会じゃね?」
「なんという再召喚。うぅむ、やる価値はあるな……宝具レベルも上げたいし……」
「えぇっ……私は反対よ。それでうっかり召喚されたらどうするの……!?」
「まぁ、その時はその時だ」
「おぅ。オレは別段止めねぇけど、とりあえず思い出したから聞くぜ? マシュはそれ知ってんのか?」
「……の、ノーコメントで」
「……マシュさんに知らせてくるわね!!」
「あっ、こらアビー!!」
止める間もなかった。いつの間にか車の中の空間が広くなっているが、アビゲイルにとってはそんなことは関係ない。
そもそも、なんで車の中なのに距離が離れるのかと言う疑問がわくが、そんなことを考えていては生き残れない。SE.RA.PHの如き理不尽さと考えておくべきだろう。
ともかく、アビゲイルはマシュの所へオオガミが石を勝手に使おうとしていることを報告しに行った。
残されたオオガミとアンリは、
「……帰ってくるまでに回すか」
「アンタの心臓は鋼かよ」
怒られるなど、もはやいつもの事。この程度で止まるオオガミではない。
反省しろよ。とか思わなくもないが、大体反省しないのがいつもの事なので、基本的に諦めているのがほとんどだ。
「さて。では大事な大事な石召喚です。ちなみに、このうちの20個は、50日毎にどこかから支給される石であります」
「どこから支給されてんだよ……」
「深く考えちゃいけない……感じるんだ……」
そんな冗談を言いながら、石を召喚陣の中に投げ込む。
狭い車内が謎技術で広くなっているので、何人か増えても問題ないだろう。
そう思い、誰が召喚されるかと楽しみにして――――
「――――エルバサさんかぁ……」
「む。なぜ残念そうにするのか。戦力増強は望ましい事だろう?」
「そうだけども……」
召喚されたのは、エルドラドのバーサーカー。そろそろ真名で呼んでも良い気がするのだが、いかがなモノか。呼び方を安定させないとこの先も大変だろう。
「まぁいいや。よろしく。エルバサさん」
「あぁ、任せろマスター。全て破壊してやろう」
そんな二人を見つつ、何となく危険な雰囲気を感じてきたアンリは、二人が話しているうちに静かに逃げるのだった。
人類悪顕現……アビーの天敵である。恐ろしい事です……絶対呼んじゃいけない……