「うわはははは!! もうやだ泣きたい!!」
「マスターが泣きながら笑ってるとか、どう考えてもホラーだよねぇ? まぁ、宝具レベル上がっただけなんだけども。ビックリするね」
「再召喚早々叫ばれるとか、なんかしたか?」
荒ぶっているオオガミと、困惑している新シンとベオウルフ。
新シンは年明け。ベオウルフはバラキーの前日にはいたので、二人とも再召喚だ。結局狙っているのが来ないのはもはや通常運行であろう。
「ふ、ふふふ……もうダメだね……これはもう、諦めてキアラと一緒にしまわれていよう……」
「あぁ? なんだ? マスターは閉じ込められでもしてんのか?」
「まぁ、色々やってたからね。仕方無いでしょ」
部屋の隅でカタカタと震え始めたオオガミを見て、何かあったのかと疑問に思うベオウルフと、真相を知っている新シン。
「へぇ……何したんだ? 喧嘩ってことは無いだろうし」
「マシュ嬢はいつも『資源がない』って言ってるのに、無断で召喚したっぽいよ? んで、キアラってサーヴァントを召喚したんだってさ」
「ほぅ? ソイツ、強いのか」
「さぁね? でもまぁ、変態ってだけじゃあ流石にうちのマスターは逃げないでしょ。つまり、強いんじゃない?」
「おぉ、面白そうじゃねぇか。手合わせ願いたいな」
「絶対止めた方がいいと思うけどね」
ちょっと立て直したのか、ベオウルフを見ながら呟くオオガミ。
「なんだ、負けるってか?」
「いや、そういう意味じゃなくって、現状逃走手段が無いから、止めておいた方がいいかなって。車自体にもダメージが入るだろうし。拠点が見つかった後ならたぶん問題はないんだけどね」
「あぁ、そういうことか。オーケー。じゃあまだ大人しくしておくさ。だが、戦えるようになったらやらせてくれや。良いだろ?」
「出来たらね。まぁ、溺れない程度で」
「陸で溺れるだぁ? どういう意味だよ……」
「あ~……そういや、そんなこと言ってたねぇ。しかし、陸で溺れるたぁ面白い表現だ。いいね、やる時は是非呼んでくれ。見てみたいからな」
「おうさ。中々面白そうな相手だからな。楽しませてもらうぜ」
「うぅむ……アレでもキアラさん、攻撃方法が主に拳なんだよね……怖い怖い……まぁ、筋力はアビー劣るけども」
そうは言っても、それを上回る魔力があるので、きっと大丈夫なのだろう。
オオガミはそんなことを思いつつ、ベオウルフが召喚された時点でマシュにバレない可能性は無くなったので、言い訳を考える。
「さてと。んじゃマスター。そろそろゲーム終了のお時間だ。感動のご対面ってところかな?」
「……悪意あるよね。狙ってるよね。さては分かってたよねっ!?」
「んじゃ、オレはここでおさらばっ!」
「逃げやがった!!」
逃げる新シンに気をとられている隙に、さりげなく霊体化して立ち去るベオウルフ。
そして、二人と入れ替わるように、彼女は来た。
「……先輩?」
「……ごめんなさい」
オオガミは一瞬の迷いもなく、綺麗な土下座をするのだった。
えぇ、えぇ。出ませんでしたとも。弟が出したりリア友出したときには吐血ものですよ。ちくしょー。