「強ッ! パッションリップ強!! なにあれ卑怯じゃない!?」
「その後完封しておいて、よくそんなことが言えるなマスター」
パッションリップ戦後、叫ぶオオガミに突っ込むネロ。
実質ほとんどの攻撃を受けてダメージ軽微で行ったので、初戦で思わず令呪を切ってしまったくらいの損傷で済んだ。
ただし、令呪を切ったのが小さい損傷とは言わない。
「ぐあぁ…どうしろと言うんだこれは…令呪が無いとか、辛すぎる…!!」
「そもそも令呪に頼らないというのは無いのか」
「どうするの? というか、次の奴、どうやって倒すの?」
「気合と根性しかないでしょ!? 正直絶対やりたくないけど!」
「ヘラクレスでゴリ押しする気か!? いや、別に嫌だというわけではないのだが…なんというか、華やかさに欠ける」
「令呪が無い上に難易度が高いんだから文句言わない。ほら、行くよ」
「うへぇ…気が進まないわぁ…」
「余もやる気が起きない……明日にするのはどうだろうか」
「いやいや…何をダダこねてるのさ。行くって言ったら行くよ?」
「うぅ……仕方ない…行くしかないか…」
「たまに強引よねぇ…まぁ、嫌いじゃないのだけども」
グチグチと文句を言いながらもしっかりとついて行く二人。
その後の敵は、本当にヘラクレスがHPの半分を削り取るという力技で突破した。
* * *
「と言うのが事の顛末な訳で」
「は、はぁ…あの、マスターさん? どうしてそれを私に言うんです? 後衛で見てましたよ?」
パッションリップに話しかけるオオガミ。
ここまでの話をしていたらしいが、彼女も参戦、後方待機していたので知っていた。
「いや、ほら。誰かに聞いてもらいたい事ってあるじゃない。今回はそういう奴だから、気にしなくていいよ」
「そうなんですか…」
「マスター…もっと余に構ってくれてもいいのだぞ?」
「頼るんじゃなくて構えと。それはちょっと想定外だったよネロ。よし。今から一緒に周回しようっていうお誘いだね? 乗ってあげるよ? その提案」
「ん…? もしや余、変な地雷を踏んだんじゃないか…?」
「明らかに踏んでるじゃない。何こっちにまで飛び火させてるのよこの皇帝」
ぐでー。としていたネロの頬を突くエリザベート。明らかに今回の戦犯はネロだった。
「さて、どこを回ろうか…」
「周回は余が活躍出来ないから困る…」
「ランサーなら大活躍でしょうが」
「アタシ相手でも優勢だったじゃない。このっこのっ」
「うぅっ…えぇぃ! 止めよエリザベート! 流石に余も怒るぞ!?」
「やーいこうて~い! 斬れるものなら斬って見なさいよ! 逃げ切ってみせるわ!」
「言ったなエリザベート…! 余の本気をとくと見よ!」
全く関係の無い所で戦い始める二人。
それを見て、パッションリップが、
「マスターさん。止めなくていいんですか?」
「良いの良いの。大体うちのカルデアでは日常風景だよ。喧嘩してるのは戦国時代最大のうつけ者とギリシャ神話の女神だけど」
「ふえぇ……いつも喧嘩してるところなんですか……怖いです……」
「完全にじゃれ合ってるだけだけどね。本気で喧嘩するのは少ないから安心してよ」
「そ、そうなんですか……なら安心です」
そして、ネロとエリザベートの
まさか装甲を上げるだけでいいとは思ってなかったんです。防御力アップによるゴリ押しこそ最強…!