今日のカルデア   作:大神 龍

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一応目標数は集まったね(まだ終わらないですよね?)

「むむ……目標には一応たどり着いた……?」

「目標は通過点ですよ、先輩」

「いや、目標にたどり着いたらリンゴは使わないけどね?」

「そういうところでケチらないでください」

 

 マシュの一言がぐさりと刺さるが、オオガミは目を逸らしてじりじりと距離を取る。対するマシュは、逃げるオオガミをじりじりと追っていく。

 一瞬の間。勢いよく逃げ出したオオガミ。同時に駆け出すマシュ。

 だが、普段逃げまくるような生活をしているオオガミにマシュが追い付けるわけもなく、すぐに引き離されていった。

 それを見ていたアビゲイルは、

 

「不思議ね。マスター、なんであんなに速いのかしら」

「そりゃ、普段サーヴァント相手に逃走劇してるんだぜ? マシュに追い付けるわけ無いだろ?」

「むぅ……わからなくはないのだけど、なんだか納得いかないわ……」

 

 アビゲイルはオオガミが逃げ切ったのが不満のようで、むすっとしていた。

 アンリはため息を吐き、逃げ去ったオオガミを捕まえるか考える。

 ただ、別に捕まえても得がないのではないかと気付いたアンリは、どこに逃げたか予想はついているものの、黙っていることにした。

 

「まぁ、マシュは頑張った方だと思うけどな。それに、一応目標は終わってるんだろ? なら良いじゃねぇか。放っておいても良いだろ? やりたくなったらそのうち戻ってくると思うし」

「……アンリがやりたくないだけなんじゃないの?」

「……いやいや。あり得ないって。そういう言い掛かりは良くないって」

「アンリは自分の益になる事は人をあの手この手で誘導してやらせようとするし、同様に損することはやらないし言わないじゃない。そんなアンリがマスターを擁護するってことは、そういうことでしょう?」

「ひ、ひでぇ言われよう……つか、ある意味悪口なんじゃねぇのかそれ」

 

 アンリは愚痴るが、機嫌が直ったのか、少し楽しそうに笑っているアビゲイル。

 それを見たアンリは、やれやれといった表情で首を振る。

 

「まぁ良いさ。どうする? マスターを追うか?」

「そうね……確かにマスターはすぐに帰ってくるわよね。何気に寂しがり屋だもの」

「前にも聞いた気がするんだよなぁ……気のせいか?」

「どっちだって良いじゃない。とりあえず、マシュさんを落ち着かせましょう。一応終わってはいるのだもの。無理に追う必要はないわ」

「あいよ。っていうか、どこまで行ったんだよ……」

「さぁ? もしかしたらマスター戻ってくる方が早いかも」

「それは無いと良いんだけどな……」

 

 二人はそう言うと、楽しそうにマシュ探しに行くのだった。




 アンリとアビーの仲が深まっていく……なんだこの状況……

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