「なぁ……いつまでここで化け者共を殺してれば良いんだ?」
ワイバーンを一撃で倒し、式は一緒にいる他のサーヴァントに話しかける。
「ん~……そうだねぇ。倒し終わるか、移動するかじゃない?」
「私は向こうの連中さえこっちに来なければ良いわ」
「それわかる。特にあの尼さんの方にはこっちに来てほしくはない」
カーミラの見ている方へ式と新シンも目を向ける。
遠くで戦っているキアラと鈴鹿。さりげなく不意討ちを入れあっているが、どちらもかわしていた。
それを見ていて、新シンは、
「まぁ、最悪あそこの騎士を差し出せば良いんじゃない?」
「それもそうか」
「私が言うことではないのでしょうけど、慈悲はないのね」
「そりゃ、何事にも犠牲は必要ってことさ」
「必要犠牲だし、それに一番生き残れるだろ」
「バッサリね」
遠くでホムンクルスやヘルタースケルターと戦っているランスロット。こちらに気付いていない彼は、犠牲にされるのが確定しているようだった。
「しかし、かれこれ二週間近くなんだがな……」
「まぁ、イベントなんてそんなもんじゃない? こっちは何気に3ヶ月近く放置だしね」
「あなた達は新参だから良いじゃない。私は半年近く経っているのだけれど。未だにレベルは上がらないし……」
「あ~……それは確かにあるね。まぁ、種火も少ないみたいだし、しばらく待つしかないだろうけど」
「すぐにレベルが上がっていくのもいるけどな」
「別に気にすることでもないのだけれど。何もなくとも私は問題ないもの」
「俺は面白いのを見るのが良いから、出来るだけ何かあるのが一番だけどね~。ただ、バレンタインの時みたいに畑仕事をし続けるのは流石に辛いわ」
「へぇ。畑仕事とかもするのか。カルデアって、やっぱり色々変なことしてるんだなぁ……」
「バレンタインの時のは特殊なものでしょう。まぁ、私のチェイテ城に逆さピラミッドと姫路城乗ったりしていたのだけども……」
「なんだそれ。超見てみたい」
「なんというか、霊基が覚えてる感じがするねぇ、それ。マスター背負って登ったような気がする」
「あ~……登ってたわねぇ……それはもう、軽々と」
「やっぱり? うっかり落としたりとかしてなかった?」
「あなたが落としていたらマスターがあそこで走り回っていたりしないわ」
「あぁ、それもそうか」
「……何やってんだ? アイツ」
マスターの話になった辺りから遠くに見え始めたオオガミ。
何かから逃げているように見えるが、その方向にいるのはキアラと鈴鹿。あの喧嘩に巻き込まれるつもりなのだろうか。
「いやぁ……逃げることに関しては上手いねぇ」
「戦いなさいよ。いや、マスターが戦うと言うのはちょっと違うわね」
「まぁ、助けに行くのは何に追われてるか見てからでも遅くないだろ」
そう言って見ていると、オオガミを追っている者の影が見え始める。
デーモンだった。
「……パス」
「私も」
「こういう時こそあそこの騎士投げとけば良いんじゃない?」
「採用。ってことで、発案者の侠客。頑張れ」
「丸投げかい。だが、とりあえずマスターの危機だ。いっちょ頑張りますかね」
「頑張るのは騎士の方だがな」
式の突っ込みを聞きつつ、新シンは即座にランスロットに向かっていくのだった。
ランスロット不遇説。まぁ、今更ですね。