「なんであのマスター、いつも追われてんだ?」
「そりゃ、色々しでかしてるからでしょう」
昨日はデーモン。今日はアンリとアビゲイルに追われていた。
ついに門と触手にまで対応し始めたオオガミを止められるサーヴァントはいるのだろうか。
そんなことを話ながら、式はザクザクと敵を倒していく。
「いよっと。まぁほら、マスターはマスターなりに何かやってるんじゃない? なんで追われてるかまでは知らないけど」
「それが分からなかったら意味ないだろ」
「そうよ。その部分を話しているのだから、そこを知ってから来なさいな」
「おぉ、なんという理不尽。って言っても、遠目からだと言い合いした後にマスターが逃げ出したようにしか見えないんだけどな?」
「ふぅん……言い合いねぇ……」
「大方、素材集めをサボっているのでしょうよ」
「あ~……言いそう。んで、マシュ辺りに怒られて逃げ出して、で、アビゲイルとアンリが追ってるって感じだな」
「いやに具体的な予想ね」
「もうそれで合ってる気がしてきた」
「……実は俺も言ってて思った」
満場一致で原因はマスターのようだった。
「まぁ、昨日と違って命の危機は無いっぽいし、放っておいても良いだろ」
「えぇ、そうね」
「異議無しだ。と、話は変わるんだが、昨日まで喧嘩していた二人。何処行ったか知らね?」
「「さぁ?」」
新シンに言われ見渡してみて初めて、キアラと鈴鹿がいないことに気付いた二人。ついでにランスロットもいなかったりするのだが、そこについては触れないことにしているのだった。
* * *
さて。問題のキアラと鈴鹿だが、二人は場所を変えて戦っていた。ちょうど式達アサシン集団の死角になっているので、見渡してみても見えなかったというわけだ。
そして、本日も逃げまくっているオオガミだが、今回の理由は、周回への拒否ではない。キアラと鈴鹿の喧嘩の被害がさりげなく拡がっているのでいい加減止めてきてほしいというマシュから逃げているというわけだ。
「だから、あの二人を止めるとか、死ねってことですか!!」
「別にマシュさんはそこまで言ってないと思うのだけど」
「いや、遠回しに一回痛い目に遭えという意思は見えた」
「なんでアンリはそういうこと言うのかしら……言っちゃいけないって言われたでしょう?」
「えっ。待って、本当に言われたのか?」
「えっ」
「えっ」
「後ろから不穏なワードが聞こえるんだけど!! うちの可愛い後輩はそんなこと言わないって信じてるから!!」
「マスター……」
「そうだな。現実は見た方が良いぜ?」
「アンリは後で酷い目に遭わせてやる!!」
「オレだけかよ!?」
我が家の後輩ちゃんは今日もマスターへの
そして、しばらく逃げまくるオオガミだったが、一瞬の油断で捕縛されるのだった。
我が家の後輩ちゃんは、今日も笑顔でマスターを正座させています。平和ダナー。