「おいマスター。飯はまだか~」
「お腹空いちゃったわ~……」
「ちょっと待ってね~。あ、アンリは雑草でもどうぞ」
「うわ~……男女差別だよ。サイテー」
「違います。アンリ差別です」
「悪化してんじゃねぇか」
男女差別を越えた個人差別。色々と問題しかない発言だが、それを言っているオオガミ自身、他の職員一同から一緒にされたくないと思われていたりいなかったり。
「というか、なんで平然と先輩が料理してるんですか」
「そりゃ……消去法?」
「私は何処に……」
「いや、マシュは素材管理という、重大且つ実質無意味な仕事があって、他のメンバーは作れないor作らない。ならば、もう必然的にやらざるを得ないわけだよ」
「なるほど……って、ちょっと待ってください。今さりげなく私の仕事を無意味だって言いませんでした? 先輩? 事と次第によっては私もそれなりの反撃をさせていただきますよ?」
「うん。何が起こるか考えたくもないので即座に謝ります。ごめんなさい」
瞬時に謝るオオガミ。根本的なところではどうしても頭が上がらないオオガミだった。
それを見ていたアビゲイルとアンリは、
「……こういうやり取りを見てると、なんだかんだマスターはマシュさんに本気では逆らえないのね」
「いや、マシュが素材管理しないと盗む時にバラバラに置いてあって盗みにくいからだろ?」
「アンリはすぐそうやって裏を考える……マスターはそんな悪い人じゃないわ。……たぶん」
「一瞬で不安にさせるなよ。そこまで言ったら言い切れよ……」
なんとなく言ったことが当たっていそうで不安になってくるアンリ。
本当に当たっていたらあまりにも酷すぎて思わず殴り飛ばすレベルだが、流石にそこまでゲスくはないと信じている。
「ま、まぁ、マシュも食べる?」
「……何を作ってるんですか?」
「ワイバーンカツ」
「またワイバーンを具材にしてるんですか!?」
「だって今一番手に入れやすい食材じゃんか!!」
「そうなんですけど、そうなんですけど!! でも、なんか違いませんか!?」
「だって、意外と美味しいし……」
「肉厚ジューシーですけど……!! 凄い分かるんですけど……!! でも先輩。ワイバーンは本来手に入らない貴重なもの……!!」
「関係ない!! 食わなきゃ勿体無い!!」
「ド正論!!」
「おい待てゴリ押されてるだけだろ」
「しーっ! アンリは余計なこと言わない!!」
ここ最近ずっとワイバーン料理が続いているのだが、その原因はここにあったりする。
そのせいで、オオガミはワイバーン料理が妙に得意になっていたりする。
「はぁ……ワイバーン以外にも頑張りましょうよ……」
「うぅむ……じゃあ、明日ちょっと考えてみるよ」
「よろしくお願いしますね、先輩」
そう言って、オオガミは調理に戻るのだった。
ワイバーン以外に使える食材……うごご……