「おぉぉぉぉぉ……ついにエウリュアレの出番が来たよ……」
「え。私の出番? どうしてよ。面倒なんだけど……」
「私は!? 私は無いの!? マスター!!」
「あ、アビーは……無いね……」
「なんでえぇぇーーー!!」
叫びながら転がりまわるアビゲイル。
オオガミはそれを見て苦笑いをし、エウリュアレはオオガミの横から情報を見つつ面倒臭そうな顔をする。
「まぁ、どの道アビーには参加してもらうと思うけどね。結局エウリュアレでも有利不利はあるし。その点、アビーはほとんど無いからね」
「むむむ……出番があるならいいわ。ふっふっふ。ようやく私の出番ね!! ちゃんと大活躍するんだからっ!!」
「やる気ねぇ……とはいっても、これを見る感じ、どう見てもアイテムが集まるまでは私が戦うのよね」
「でも、アイテム回収が終わったら基本アビーのターンじゃない? まぁ、確かにアイテム回収が鬼門だと思うんだけどね」
「やっぱり私が一番大変なんじゃ……?」
首をかしげて考えるエウリュアレ。事実、今までのことを考えると、どう考えてもほとんどエウリュアレの出番しかなさそうだった。
「むぐぐ……なんだか、エウリュアレさんがずっと出る気がするのだけど! ちゃんと私も出番あるのよね!?」
「あるってば。まぁ、場合によっては最初から最後までずっと出続けることになるけど」
「……貴女も大変なことになりそうね」
「え? なに? 何か問題があるの……?」
不穏な雰囲気になってくる。特に、エウリュアレの生暖かい視線が、更にアビゲイルの不安を煽る。
イベントによる超地獄周回。その地獄を味わっている身としては、複雑な心境のようだ。
「まぁ、貴女は実際に味わえばいいと思うわ。ふふふ。すごい楽しみだわ」
「うぅむ、だんだんと真っ黒になってきたな、エウエウ。本性を現してきてる感じ?」
「ふふふ。日本には、『雉も鳴かずば撃たれまい』って言葉があるみたいだけど……意味は言わなくてもマスターはわかるわよね?」
「もちろんだとも。だけど、見えてる地雷は踏み抜いていくのが信条だよ」
「そんな信条捨ててほしいのだけど」
「マスターのそういうところは悪いところだと思うの」
「うぅむ、バッサリ言われるなっ!」
許されなかったらしい。下手な言葉は言うものではないとオオガミは再認識するが、反省はあまりしていなかったりする。
ともかく、次のイベントはエウリュアレだけか、もしくは二人ともが地獄の大周回へと行くことになるのだろう。
そんなことを考えながら、三人はそれぞれ明後日のことを考えるのだった。
もはや確定している地獄周回。果たしてアイテム回収は終わるのか……始まってすらいないけど苦戦するのは目に見えている恐怖……