「よぅし……ようやく、今になって天竺級がいいと言うのに気付いたぞぅ……」
「心臓も貰えるものね。周回にも最適ね」
「でも、私はあんまり活躍できないのよね……」
ムスッとしているアビゲイル。
ついにデーモン狩りを始めたオオガミ。エウリュアレはそれを見て楽しんでいたが、アビゲイルは自分が戦えていないのが不満らしかった。
「まぁ、アビーは強いからね。わりと使う場面も少なくなるわけです」
「えぇ……普通、強いから戦うんじゃないの……?」
「ん~……なんというか、負けた感じ凄い……?」
「なんで疑問形なのよ……別に私が戦っても良いと思うのだけど?」
「ん~……相性とかもあるしね。色々と仕方ない面はあるんだよ」
「むぐぐ……でも、エウリュアレさんは連れ回されてるじゃない」
「あら。残念だけど、今はフリーなの。だって、私の相手は、セイバーか、もしくは男性の時。後は今回みたいに、イベントボーナスがあったりするときよ?」
「いや、まぁ、それ以外では連れてないかというと怪しいけども……まぁ、未だに対男性最終兵器だもんね、エウリュアレは……」
「わ、私はっ!? 私はそういう役割は無いの!?」
「「対軍団バーサーカー最終防衛ライン」」
「対軍勢専門っ!」
単体バーサーカーならばなんとかなるが、軍勢になると意外と捌き切れないので、自然とアビゲイルに任せる他ないのだ。今の所、そんな状況になった事は無いのだが。
「私って、単体宝具のはずなのだけど……」
「関係ないわよ。だって、うちには全体宝具のフォーリナーはいないでしょ?」
「要するに、アビーしかいないわけだよ」
「うむむ……嬉しいけど、何か違うわ……」
「まぁ、是非も無いよね」
うんうん。とうなずくオオガミ。
二人はそれぞれ違う理由で、苦い顔になるのだが、オオガミは気付かない。
「はぁ……とりあえず、周回行ってきなさいよ。それと、昨日みたいに大量のデーモンを連れてくるとかは止めてよ?」
「いや、あれは狙ってやったんじゃないんだけど……というか、エウリュアレのその助けようと思わない姿勢は一周回って凄いと思うの。もっと優しくしてくれてもいいのよ?」
「嫌よ。だって、感謝されたらあんまりからかえなくなるでしょ? それは面白くないもの」
「うわぉ、想像斜め上過ぎて何も言い返せないぞぅ? まさかからかえなくなるから助けないと言われるとは……」
「えぇ。それに、そんな簡単に死なないじゃない。と言うより、私の攻撃を避けておいて死なれても困るわ。えぇ、当然死なないわよね?」
「なんという理論……信頼が一周回ってある意味殺意になってる不思議っ!」
「私としては、どう見ても見捨てているようにしか見えないの……!!」
オオガミとアビゲイルは戦慄しつつ、エウリュアレを見るのだった。
そんな風に見られていると自覚しているエウリュアレは、本音かどうか悟らせないかの如く、笑顔を張り付けるのだった。
最近、アビゲイルが出番出番と言っていて、ふと思った事。これ、ノッブに近しい状態じゃないです……?