「ふむ。これが宝具5か……あまり実感はないが、今までよりはマシになるはずだ」
「よぅし、ようやくだね。とは言っても、レベルが上がってないからもうしばらく待機かな?」
「そうか。それなら仕方ない。裏方に回るとするさ」
そう言って、アビゲイルと共に運んできたチョークを綺麗に整頓し始めるジーク。
今まで、わりと出番を寄越せと叫ぶサーヴァントが多かったせいで、素直に裏方に回ってくれたジークに感動を覚えるオオガミ。
「あぁ、これでマシュの一人きり荷物整理が終了するのか……」
「貴方……マシュに全部任せるのはどうかと思うのだけど」
「エウリュアレの正論が耳に痛い……!!」
「マスターも、時間があれば手伝っていたけれどね?」
「いえ、基本気分屋だから、気が向いた時以外やらないわよ?」
「ここ最近は良く手伝ってるけどね。まぁ、流石にイベント中はあんまりできないけどね?」
「誰かが交代しながら手伝ってたりしたけど、今はそもそも人数が少ないしね。手伝ってくれる人が増えるのは良い事だわ」
「役に立てるのならそれに越した事は無い。どこまで出来るかはわからないけど、精一杯やってみせよう」
「将来的には宝物庫周回があったりするのだけど……いや、しばらくは無いし、問題ないね」
「一体何があるのだろう……」
「いずれ分かることになるはずよ……知らない方が良いこともあるけどね」
「エウリュアレさんって、人を不安にさせたがるわよね……えぇ、私は不安になら無いけどね!」
「貴女は何と張り合ってるのよ……」
「まぁ、楽しそうだし良いんじゃない?」
「流石にとんでもないようなことではないだろう? その時が来たら悩むことにするよ」
「そうね。それが一番じゃないかしら」
「不安を煽るだけ煽って放置するエウリュアレさんに対して、あまり気にしてなさそうなジークさん……相性良いのかしら?」
「ある意味悪いと思う」
平然としているジークに対して、不満そうなエウリュアレ。相手が戸惑っているのを見るのが楽しみなエウリュアレからしたら、ある意味天敵である。
「まぁ、これで交換終わったし、後は素材を回収するための周回かな?」
「面倒よね……まぁ、私は見ているだけなんだけど」
「エウリュアレさんのその逃げる速度、流石だと思うの」
「事実なんだけど、なんとなくダメ女神な気がしてくる」
「駄女神?」
「アビー。後で覚えてなさい?」
「ひぇ……」
地雷を踏み抜いてしまったアビゲイル。エウリュアレの笑顔が怖く見えるのは、最近よくあることだったりする。
なので、アビゲイルはオオガミと共に逃走を図るのだった。
あれ……なんとなく、最近この二人、結構逃げてる気がする……気のせい……?