「たっだいま~!」
「うおわぁ! マスターが帰って来たぁ!?」
「その対応は酷いんじゃないかな!?」
オオガミが休憩室に入ると同時に悲鳴のような声を上げるノッブ。
まるで幽霊が現れたかのような行動に、オオガミは反射的に声を上げる。
「いやぁ……まさかマスターが帰って来るとは思ってなかったからの。こんな反応になるのも仕方がないんじゃ」
「帰って来ないと思われてるとか、心外なんだけど!?」
「仕方ないじゃろ。あれだけ帰って来なかったんじゃから……」
「それはそうだけども……今回は流石に難易度が高すぎたんだよ……」
「知っておるよ。エウリュアレが愚痴っておったし」
「エウリュアレ何してるの!?」
「あら。聞かれたくないことだったのかしら?」
「うん! かなりね!」
後ろから聞こえた声に咄嗟に反応するオオガミ。
背後には当然の様にエウリュアレがいたわけだが、その更に後ろにマシュもいた。
「ほら、だから言ったじゃないですか。止めましょうって」
「あら、あなたもしていたでしょう? 爆死したのを黙ってたって」
「そ、それはそれですよ! 私はそんなに言ってないじゃないですか!」
「言ってることは認めてるじゃないの…」
「べ、別に愚痴られてることを想定して無かったわけじゃないけども、これは想定外なまでの攻撃だよ……」
「わ、私も一緒にされると困ります! 私はちゃんと、先輩が帰って来るってわかってましたから! ただ、気付いたら資源が減っていたことについて話してただけですから!」
「いや、まぁ……その資源を使ったのは俺なんだけども。まぁ、その……ごめん」
「い、いえっ! 別にマスターが謝る必要なんてありませんから!」
笑みを浮かべつつ追及してくるエウリュアレに反論して地雷を踏んでいくマシュ。
その地雷を踏んだことに気付き、必死で弁解するも、更に地雷を踏んでいき逆効果であった。
「それで、成果はあったんじゃろ? 何があったんじゃ?」
「えっと……それは……」
言葉を詰まらせるオオガミ。よほど見せたくない物なのか、もったいぶっているのか。
瞬時に後者だと自己解釈したノッブは、即座にオオガミの後ろを見ようとする。
「ダメダメ! ノッブはアレと出会うと絶対良くない反応が起こる!」
「…………ほぅ? つまり、儂に見られると困る物……いや、困る者がおるんじゃな? よし分かった!全力で見ようではないか!」
「それが困るって言ってるんだけど!?」
しかし、もちろんそんなことを聞くノッブではない。
容赦なくオオガミの横を通り抜けようとし――――
「あだっ!」
「きゃっ!」
衝突する。
「いつつ……なんじゃお主は。儂に当たるとは生意気な!」
「うぅ~……あなたこそなんですか! 私に当たるとか、酷いじゃないですか!!」
怒る二人。しかし、次の瞬間には何かに気付いたようだ。
「……お主、儂と同じ感じがするのぅ……」
「絶対に同じじゃないですけど、似た気配がします……あなた、何者ですか?」
「ふっ。聞いて驚くことなかれ。儂こそかの第六天魔王織田信長! 魔人アーチャーとでも呼ぶがいい!」
「ふぅん? ノブナガさんですか……では、次は私ですね! 私は月の聖杯、ムーンセルより送り込まれた最強無敵美少女AI、BBちゃんです! 人類は大嫌いですが、貴女となら何か更に面白い事が出来そうなので、よろしくお願いしますね!」
「うむ。多少気に食わない所はあるが、根本的な所は似ておる。後で儂の工房に入れてやろう!」
「工房ですか……気になりますね。行かせてもらおうじゃないですか」
「よし! 思い立ったが吉日! 今から行くぞ!」
「おー!!」
嵐の様に二人は休憩室を出て行った。そのうち二人がカルデアを混乱の渦に巻き込むのではないかと危惧するが、その場にいる全員は誰一人として止める事は出来なかった。
少なくとも、BBを止める事はかなわないのだった。
ということで、あの魔性菩薩を屠り、私はカルデアに帰ってきました!!
新たにBBちゃんも加わり、カルデアはさらに混沌とし始めますよ…!