「うああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うわぁ! ちょっと、いきなり叫ばないでよ!」
「真っ赤な顔で叫んでるわ……これは、ドヤ顔推理で思いっきり空振ったと見たわ!」
赤面しながら床を転がるオオガミ。
突然の事にエウリュアレは驚くが、冷静にアビゲイルはオオガミが何を考えていたかを推測する。
「な、なんでアビーは知ってるの……!?」
「ふふん! 私の勝ちね! これで私の推理が間違ってたことを誤魔化せるわ!」
「自分で公言しちゃったら隠すも何もないでしょうが」
「ハッ……! 何て巧妙な罠なの……!? まさか私の口から言わせるなんて……! 謀ったわね!?」
「自爆じゃないの……」
「……二人も謎解きしてたの……?」
「まぁね」
話の展開に困惑していたが、どうやら謎解きをこちらでもしていたようだった。
また、アビゲイルの自爆によって、アビゲイルも間違えていたのであろう事が推測できる。
「それで、どうだった? やっぱり予想はドロシーで、結果はハリエットだったかしら」
「なっ!? 犯人はともかくとして、どうして推測まで知ってるのかな!?」
「まぁ、かくれんぼの様子を知らないマスターからしたら、推測は難しかったでしょうね。というか、容姿が私に見えるから疑わなかったとか無いわよね?」
「え、エー。ソンナコトナイデスヨー?」
「そういうのは要らないわ。本音は?」
片言で言うオオガミに対して、少し睨むような目付きで見るエウリュアレ。
オオガミはその目を見てため息を吐くと、
「いや、母と妹の錯誤には気付いたけど、アリバイをちゃんと見てなかったのがミスだったかなって」
「あら、あっさり認めるのね」
「そりゃ、粘る理由がないし、エウリュアレなら見抜くだろうし」
「そうかしら。流石に反省内容までは分からないわよ」
「どうかねぇ?」
「エウリュアレさん、私の回答を聞いて、『マスターも同じ結論に至りそう』とか言ったのよ? しかも、実際あってるし。なんか、納得いかないわ」
「アビー? それ以上言うと……ね?」
「ん。私は何も言ってないわ。えぇ、何も言ってないわ」
凄みのある笑みを浮かべたエウリュアレに気圧され、視線を逸らすアビゲイル。
そんな状況に、オオガミは苦笑いになりつつも、何故かエウリュアレから逃げられなさそうな雰囲気を感じた。
まるで、頭の中まで監視されていそうな気分だった。
「うん、まぁ、謎解きは盛大にミスったけど、ホームズのせい――――じゃなかった。ホームズのおかげで、無事事件は解決。あのヒロインっぷりをみるに、ステンノ強化フラグ! 勝ったなこれは!」
「そういうフラグを立てるのは良くないと思うの」
「マスター。そろそろ矢が恋しいのかしら?」
「おっと。私は別に矢で貫かれたい願望がある訳じゃないんで、ここらで一眠りさせてもらうよ! おやすみ!」
「夢の中に逃げても、追い回してあげるわ」
オオガミが去る間際に呟くエウリュアレ。
その言葉は、妙にオオガミとアビゲイルを不安にさせるのだった。
結末に泣いた。なんというか、報われない……殺人事件の最後は、得てしてそんなものなのでしょうか……
まさか娘二人ともとか、想像しないよ。残酷すぎるぜぃ……