「なんか、疲れてきたよ」
「別に急いでもいないし、ゆっくりやれば良いわ」
「今日はお汁粉ね! あの控えめな甘さが好きよ」
「……いつの間にか、エウリュアレよりもお菓子を求めるようになっちゃったね……アビー……」
「そういうの、言わないで欲しいのだけど……こっちが恥ずかしいわ」
ぐだぐだと京都に来て以降、大体アビゲイルが行きたいところに行っているのがほとんどだった。
なんとなく親子気分だと呟いた時に瞬時にエウリュアレに脛を蹴られたのは記憶に新しい。
「それで、汁粉だっけ。茶屋は生きてるかな……?」
「生きているはずだわ! ダメなら門を使って過去まで行って食べるわ!!」
「なんでそこまで本気なの……? 小豆を買えば作れると思うけど」
「むむぅ……じゃあ、大量の小豆とお餅を買ってこないとよね」
「そうね。出来るだけ多く買わないと、しばらく生きられないわ」
「私のおやつの生け贄となってね、日輪城!」
「ひぇ……解体する気だ……」
事実、現在進行形で触手で殴って砕いてを繰り返して門で回収してを繰り返していた。
とりあえず、そのうち来るであろう茶々に任せれば日輪城の金は有効に使えるだろう。
「まぁ、チビノブ達を倒せばお金は手に入るし、金策は出来ない訳じゃないけどね」
「たくさんの生け贄が必要なわけね」
「じゃあ、たくさん倒さないとよね。待ってなさい、私のおやつ~!!」
颯爽と城へ乗り込んでいくアビゲイル。
置いていかれた二人は顔を見合わせると、
「チビノブの捕獲計画ってどうなったの?」
「捕獲しても、飼うスペースが無いんだよね」
「貴方の部屋に置いておけば良いじゃない。そのうち打開策が見つかるでしょ」
「なんて雑な……最悪爆発するんだけど?」
「大丈夫。爆発程度で死ぬとは思ってないから。だってほら、不死身でしょう?」
「死ぬときは死ぬと思うんだけどなぁ……」
とは言っても、事実ほぼ不死身と言っても過言ではないだろう。潜り抜けてきた修羅場的に。
「さて。アビゲイルを放っておくわけにはいかないし、行こうか」
「そうね。なんだかんだ、危なっかしいものね。助けに行かないともしかしたら包囲されてるかもだし」
「包囲されてても抜け出しそうだけどね。場合によってはこっちがピンチになりそう」
「……その時は、その時ね。オケアノスの時みたいによろしくね」
「む、無茶苦茶な……いや、精一杯やるけどもさ」
「えぇ。期待しているわ」
そう言って、微笑むエウリュアレ。
オオガミはそれを見て、そんな状況にならないように祈るのだった。
最近エウリュアレより食べているような……不思議です……