メルトリリスに来てほしい…(それよりもこっちを助けてほしいんじゃが!)
「なぁ、マスターはどうしたんじゃ?」
休憩室の端でぶっ倒れているオオガミを見てノッブが呟く。
「えぇっと……メルトリリスさんが召喚されないので、放心状態なんじゃないかと思います」
「マスター…メルトのこと、気に入ってましたし」
「全く。メルトが来ないからってなんですか。この最強デビル後輩系ヒロインBBちゃんがいれば何も問題ないでしょうに」
「BBさん。それ以上後輩を強調すると、殴りますよ?」
「えっ、何この子。怖いんですけど……こんな子でしたっけ」
「マスターが絡むとたまになるから注意しなさい。まぁ、もう遅いけど」
それに答えたマシュとパッションリップに続いたBBが地雷を踏み、マシュの怒りを買う。
BBは困惑して思わず周りに聞くが、全員は速攻で目を逸らし、唯一
「えぇ~……BBちゃん、最初から詰みなんです?」
「後輩とか言った時点で割と詰んでたわね」
「そんな最初から!? いえ、そんな気はしてたんですけどね!?」
「なら自業自得じゃ。ふはは」
「何笑ってるんですかノッブ。というか、その笑い方はまるで私が殴られるのを望んでるみたいじゃない」
「何を言っておるんじゃ。別に、儂はお主が殴られることを望んでるわけじゃないが、儂にも止められることじゃないし、むしろ儂は巻き込まれたくないし」
「そこまでの話なんです!?」
想像以上の事態だという事に気付き、BBはちょっと焦る。
「それで、これからどうするの? 種火でも周回するの?」
「いえいえ、まだSE.RA.PHのミッションが全部終わってませんし」
「まだ先輩を拘束する気なんです?」
「お、落ち着けマシュ。さすがにそれはマスターが普通に突っ込んでいくと思うんじゃが?」
「むっ、それは確かにそう思います……」
「じゃ、じゃろ? だから、その振り下ろそうとしておる盾をゆっくり下すんじゃ」
いつの間にかBBに向けられて振り上げられているであろう盾を、ゆっくり下す。
なぜノッブが必死で止めたのかと言うと、もちろん、ノッブもまとめて潰されるところからだったからだ。
「ふぅ……危ない危ない……BBが一人で潰されるならまだしも、儂まで潰されたら痛いからの…」
「後ろから注射器を叩き込みますよ?」
「それはそれで止めてほしいんじゃが」
前門の巨盾、後門の注射器である。
ノッブは両者に挟まれ、死ぬかもしれないと覚悟する。
「うふふ。どうしようもない状況ね。それを越えてこそ、私の友人ね」
「なにのんきなこと言っとるんじゃこの駄女神!」
エウリュアレがドヤ顔でそんなことを言うが、悲しい事に本当に困っているノッブだった。
その後、しばらくはノッブの背後には常にBBが着いてくるようになったという。
ついにガチ切れマシュちゃん……BBちゃんの天敵ですね。これは完全に。
しかし、本当にメルトリリスがほしい……ミッションも本当に終わらないし……