「う~ん、意外と集まらないよね」
「ドロップ量があんまり多くないものね」
「か、カエルアイテムの群れ……もう呪いのレベルなんじゃないかな……」
「カエルですか……皮を剥いで内蔵を取って焼けば、食べられる部類でした」
「一人だけ感想がおかしいのだが?」
アイテムの話をしているのに、一人だけ生物的なカエルの話で、しかも料理の部類だった。
ゴルゴーンには蛇っぽいイメージはあるが、だからと言ってまるで食べたことがあるかのような感想は如何なものだろうか。
「う~ん、カエル料理かぁ……鶏肉っぽいって有名だよね。ちょっと挑戦してみたいってのはある」
「あいにくだが、食用のカエルを見分けられる程の技術は持っていなくてね。捌いた経験もないから、私は協力できそうにない」
「待って待って、なんで普通に作るつもりでいるのかしら。え、私は嫌よ?」
「茶々も勘弁。エミヤの美味しいご飯でいいや」
「カエルって、食べれるのね……いえ、別に、挑戦はしたくないけどね?」
全力で拒否するエウリュアレ達と料理長。
そんな四人を見て、アナは改めてオオガミの方を向くと、
「……やります?」
「いややらないよ!?」
貴方は食べますよね? とばかりの視線に、即座に突っ込むオオガミ。
挑戦してみたいとは言ったが、今すぐにとは言っていないし、そこまで困ってもいないので全力で拒否をする。
「仕方ないですね。まぁ、マスターにはいつか振る舞いますので、覚悟していてください」
「うぅむ、遠回しな殺意が見える……でも、流石に毒ガエルは使わないって信じてる」
「…………」
プイッと顔を逸らすアナ。直後、オオガミの顔が引きつったのは言うまでもないだろう。
「いや、マシュのお陰で毒は効かないけども、そうじゃなかったら大惨事なんだけど?」
「本来の私達はそういうものだったと思うんですが。むしろ、これでもわりと変格してるような感じかと」
「もっと優しくしてくれても良いんだけど?」
「これくらいで嫌われるとは思っていないので。というか、毒が効かないなら食べたとしても気付かないでしょうし」
「うん。そういう問題じゃないと思う」
アナの考えに思わず突っ込むオオガミ。
とはいえ、確かに一切気付かずに毒ガエルを食べる可能性は大いにあるので、本当にやられたとして嫌ったりはしないだろう。
だが、それはそれ。これはこれである。
「少なくとも、毒を食べさせようとしたので、お仕置きです。アナはしばらくエミヤの手伝いをしてね」
「……それくらいでいいんですか?」
「そりゃ、それ以外にやることないし。むしろ何を想像していたのさ」
「姉様がやってくるようなのと同じかそれ以下かな、と。でも、ここまで優しいものだとは思っていませんでしたが」
「一体人をなんだと思っているんだよ……そんな悪魔の所業みたいな事をすると……?」
「あら。さりげなく私が悪魔みたいだと言われた気がするのだけど?」
「あ、え、その……じゃ、アナは仕事頑張ってね。逃げるから!!」
うっかり口を滑らせた瞬間に後ろから凄い威圧感を感じたオオガミは、振り返ることなく逃げ出すのだった。
それを追うエウリュアレと、置いていかれたアナ。
エミヤは一部始終を見送ったあと、
「まぁ、マスターに言われてしまったのなら仕方ないだろう。軽いものだが、手伝ってくれるだろうか」
「あ、はい。分かりました」
そう言って、エミヤについていく。
そして、その二人を見送るのが二人。
「茶々、今日は休みかな」
「私、最近空気な気がするわ」
そう呟いて、二人は帝都の空を見上げるのだった。
カエルを食わされそうになる系マスター。
とはいえ、実際にカエルって美味しいんでしょうか……わりと気になる部類なんですが、如何せんタイミングがなくて食べたことないんですよね……まぁ、もうしばらくは無いと思いますけど。