「茶々、デストロイして疲れた……マスターの登場の仕方にも疲れた……」
「まぁ、天井壊しながら侵入したら、普通ビックリするわよね……」
「精一杯頑張りました」
「バスターの威力を見せつけました」
「隣で見てました」
「止めてよ!? 茶々、正面から入ってくるのをめっちゃ楽しみにしてたのに!!」
天井を壊し奇襲したオオガミ達。
オオガミはどこからか取り出してきたツルハシで頑張っていたが、アビゲイルの触手のパワーに勝てるわけもなく、呆気なく砕かれてオオガミだけ瓦礫と一緒に落ちていったのは記憶に新しい。
当然、アイスを食べていた茶々は目の前に突然落ちてきた瓦礫の群れに硬直するのは仕方のないことだろう。
「というか、何よりビックリしたのは、マスターが下敷きになってるにも関わらず容赦なくその瓦礫の上に乗る三人だよ!? 叔母上並みじゃん!!」
「ノッブの扱い。一周回った信頼に苦笑いだよ」
「いえ、たぶん茶々さんが言いたいことは全く別のことだと――――」
「それを言っちゃダメよ。完全にブーメラン刺さってるのに全く気付いてないんだから、そっとしておくのが一番よ」
ノッブの扱いも問題だが、それ以上にオオガミが下敷きになっている瓦礫の上でそんな事をやっているというのは、オオガミに対する扱いが目に見えている。これも一周回った苦笑いにしかならない信頼にような気もするが、本人は気付いていないようだった。
「私、よくマスターが生きてるなって思うの。普通死んでると思うのだけど……」
「一番元気にポーズ取ってた人がさもめっちゃ心配してたみたいに言ってる……!!」
「……茶々さんだけどこか別の場所に飛ばしてあげるから、感謝してくださいな」
「おっと。ごめんなさい。ちゃんとシャドウ・ボーダーに帰りたいな」
「残念だけど、私の空間、4人用なの。ごめんなさいね?」
「なん……だと……!? じゃあ、茶々はどうしてここに……!?」
「黒幕だったから……?」
「そんな理由で……!?」
「そもそもの原因がイベントに参戦できなかったからというぐだぐだな件について」
ともかく、余計なことを言った茶々は亜空間を無事に渡りきれるかというセルフホラーに強制参加の流れに。
茶々はどうにかして確実に帰れないかと考えるが、機嫌を取る事に秀でているオオガミに聞けるような状況じゃなかった。
「まぁ、まだ素材回収が終わってないし、もうしばらくいるけどね」
「うふふ。延命出来るわね、茶々さん」
「茶々、命拾い……? 延命しただけの可能性……これは生き残る術を探す時間ができたと考えるべきかな……!?」
オオガミの一言に、不穏な笑みを浮かべるアビゲイルと、生き残れる可能性が出来たと喜ぶ茶々。
エウリュアレとアナは、そんな三人に苦笑いをするのだった。
瓦礫の下敷きになっていたはずなのに無傷のように振る舞うオオガミ君の頑丈さ。こいつ、さては人間じゃねぇな……?