「完全に終わったー!! 茶々の冒険終了!! 完!!」
「そして明日にはレース開催よ。準備はいいかしら」
「大丈夫。こっちの準備は出来てる」
「礼装だけはいっぱいあるわよね……どれが使えるのかしら」
「石、貯まる気がしませんね」
どんどん削られていく石の貯蔵。というより、もう石の貯蔵は無い。
帰ったらマシュに簀巻きにされるのは確定的に明らかで、今すぐにでもレース会場へと逃げ込みたいオオガミ。
しかし、彼は一つ忘れていることがある。あのマイルームは、マシュと一緒に作業する場所だという事を。
「石はほら、気付いたら無くなるものだし。仕方ないよ」
「……またメルトが来たときに苦労すると思うのだけど」
「うっ……い、いや、もうしばらくは復刻しないと思う……あ、でも、どうだろ……記念で復刻する可能性があるかもしれない……」
「そしたら頑張るしかないわね。見守っていてあげるわ」
「あぁ、うん。見守るだけなのね……いや、まったく気にしないけど。任しといて」
「大丈夫! 私はちゃんと手伝うわ!!」
「まぁ、姉様も本気で手伝うつもりがないわけじゃないでしょうし、助けを求めるときにはあまり悩まなくてもいいんじゃないかと思います」
「アナ。後で別室ね」
「……最近、マスターのせいで警戒が緩んでる気がするので、後で八つ当たりさせてもらいます」
「うん。ここ最近で一番の理不尽だなこれ!!」
メルト復刻の可能性に震えていたオオガミも、アナの不用意な発言からのエウリュアレのお仕置き、アナの八つ当たりで巡り巡ってオオガミへ被害が降り注ぐ。
完全に悪いのはアナなのに、とりあえずとばかりに八つ当たりされるオオガミ。とはいえ、誰も突っ込まないのだった。
「まぁ、マスターも大概だと思うの」
「存在自体が理不尽よね。色々な意味で」
「ど、どういうことなの……」
「今までの行いの結果……ですかね」
「なんですと……? いや、流石にそんなとんでもないことした覚えはないんだけど……?」
「それ以上話してると、いつも通りの展開になるのが見えたのだけど。とりあえず、明日の話をしましょう」
エウリュアレはそういって会話を変えて、いつもの流れを止めた。
別段何があるというわけでもないのだが、いつも同じような話をするのもどうかと思ったのだった。
「う~ん、明日、明日ねぇ……とりあえず、周回をするのに変わりはないんだけど、メンバーは未だ未定なのよね。まぁ、始まったら決まるよ」
「茶々タイムはもう無いよね!?」
「可能性はあるけど、たぶんない……かな?」
「よぅし!! これで茶々は安心してレースを見れるね!!」
茶々はそう言って、ガッツポーズをとるのだった。
石の貯蔵は十分か……? 私は、出来てない……(致命傷