夏だ! レースだ! 突っ走れ~!(茶々は待ってるね!)
「よぅし叔母上ぶっ飛ばす!!」
「また暴れてるの? ちょっと向こうまで行って周回に混ざってきたら?」
「それは断固拒否!! 茶々はもう周回には触れないのです!」
レース会場の観覧席で、飲み物片手にノッブが負けるように祈る茶々と、オオガミの財布でアナをお使いに行かせているエウリュアレ。
今回は一時顕現が出来るようなので、全員休んでいるというわけだ。
「けど、今回は前回と比べて楽そうね。礼装が揃ってるってのもあるんでしょうけど」
「そりゃ、ちょうど5人いちゃったからね。しかもバランスが良いし。茶々は爆笑ものです」
「攻撃力が上がらなくても強いしね……えぇ。メイドも暴君もいるのなら、問題ないわね。私の出番は来ないわ」
「……果たしてそれはどうかな……?」
茶々は意味深そうに言うが、内心としては、敵が基本女性しかないので、出ることは無いだろうと予想していた。
それ以上に、マスターが出すつもりがなさそうだった。
「まぁ、一時顕現が出来るなら、私の役目は無いわよね」
「うんうん。つまり、茶々も戦わないね!」
「えぇ。つまり、今回は二人とも自由ってことよ」
「やったー!」
喜ぶ茶々。微笑むエウリュアレ。
とはいえ、エウリュアレに関しては前回も休んでいたのだが、そこは気にしないらしい。
「それにしても、普通にレースよねぇ……もっと争っても良いのに」
「それでも爆発は起こってるというホラー。その度に吹き飛ぶチンピラさん達に、茶々は合掌」
「自分から突っ込んで自爆しているだけなのだけどね……あのビーム、本当に強いわね」
「茶々もあんなビーム出したいなぁ……今回は茶々が水着になったりしないかな」
「え、ビーム出したいの……?」
「茶々の場合はたぶん炎だけどね! 茶々の本気を見るが良い!」
ドヤ顔の茶々に、苦笑いになるエウリュアレ。
そこに帰ってくるアナと、何故かいるアナスタシア。
エウリュアレは首をかしげつつ、
「なんであなたがいるのかしら」
「かき氷の手伝いをしていたのだけど、休憩になってしまって。単に気になってやっていただけなのだけど。それで、どうしようか迷っているところに、荷物を抱えてた彼女がいたから」
「助けていただきました。流石に一人で持ちきれる量ではなかったので……」
「あら。貴女なら出来ると思ったのだけど。それとも、誘うための口実かしら」
「どちらも、ですね。私一人では持ちきれませんでしたし、彼女が困っていたので。それに、姉様にも得だと思ったので。少しでも涼しくなるんじゃないかと思ったのですが、どうでしょう?」
「それは、まぁ、涼しいけども……意外と言うようになって来たわね……そのうち立場が逆転したりしないかしら……」
「まさか。私が姉様達に敵うわけがないです」
アナはそう言って、買ってきたものの一部をエウリュアレに渡す。
「……一杯買って来たわね……」
「冷たいものはアナスタシアさんに任せてあるので、しばらくは溶けないと思います。安心してください」
「そ、そう……分かったわ」
エウリュアレは妙に張り切っているアナを見て、おそらく暑さで疲れているんだろうな。と解釈して、深く考えないことにするのだった。
という事で、観客席サイドです。アビーもここですけど、今はたこ焼き屋で張り切っているので未登場。