「うへぇ~……めっちゃ暑い~……」
「そうねぇ……ちょっと暑いわよね……」
「……ところで、アビーは?」
「仕入れがあるって言って飛び出したわ。あの子、私たちの中で一番大人びてる気がするのだけど」
今日もアナスタシアのところでかき氷を買ってきてシャクシャクと食べるエウリュアレと茶々。
ちなみに、アナは実況のゲストとして連れていかれた。実況エリアだけ急造の部屋が作られ、クーラーが入っていると言う羨ましい限りの空間だった。
「……またアナスタシアのところに行こうかしら。あそこが一番涼しいわ」
「でも、一番湿度が高いと言う悲しい状況……わざとやってるのかな……?」
「単純に茶々が熱いから氷が融けて勝手に蒸されてるだけじゃないかしら……?」
「そんな……!! 茶々が強すぎるせいでセルフ蒸し風呂が出来てるの……!?」
そんなバカな。と言いたげな茶々。
事実、エウリュアレは普通に涼んでいる。
アナスタシアは、そんなセルフ蒸し風呂を作っている茶々は営業妨害だと思っているので、茶々対策を考えていたりする。
「もう、茶々用の涼み部屋をくれても良いと思う!」
「そうねぇ……私も欲しいかも。たまにかき氷屋にアナスタシアがいない時は困るもの……スタッフルームに突撃するしかないわよね」
「だからいつもマスターと一緒にいるって言われるんだよ……」
「それが原因……? じゃあ私、何もできなくない……?」
「どうしてそこに落ち着くのかが疑問だよ。もはや半分マスターに依存してるよこの女神……これが駄女神……!?」
「それ、前にも誰かに言われた気がするのだけど……」
もはやオオガミがいるのが自然になってきて、大体近くにいると基本的に快適になるのでとりあえず困ったら突撃するというのが普通になっていた。
なので、茶々に言われて思い返すと、実際その通りで何も言い返せない。
「……とりあえず、マスターを卒業しないと、ダメになりそう……堕落させるのは私の方なはずなのに、いつの間にか私が堕落させられていたなんて……」
「凄いねマスター。精神変化しないはずの女神の精神をいともたやすく変化させるとか、さてはマスター人間じゃないね?」
「凄い敗北感。許せないのだけど。絶対いつかやり返すわ」
「既に敗北してる人がやり返すって、要するに沼るだけだと思うんだけど。それどう見ても夫婦じゃないかな?」
茶々が呟いた言葉はエウリュアレには届いていないようで、エウリュアレはとりあえず卒業するための第一弾として、アナスタシアの元へと向かうのだった。
茶々はそれに気づき、置いていかれてたまるもんかとばかりについて行くのだった。
エウリュアレのマスター卒業練習。その成果は実るのか否か。
普通にエウリュアレを堕落させるオオガミ君の従者力を前に、エウリュアレは我慢が効くのかという戦いですね。