「なんというか、めっちゃ理不尽に怒られてる感ある」
突然マシュに捕まり、ゴールゲートに吊るされているオオガミ。
マシュは満足げな表情をしているので、きっと八つ当たりの部類だろうと予想する。
「ん~……やっぱアビーをレベル100にしたのがバレたのかな……」
ノリと勢いで上げたが、後悔はしてない。
とはいえ、マシュに何も言わないで聖杯を使ったのは流石に不味いとは思った。一瞬見えた目は、明らかに殺意を宿していた。
「それにしても、なんでバレたんだろ」
「ごめんなさいマスター。私が言っちゃったのが悪かったわ」
「えぇ、とっても面白かったわ。次は誰に聖杯を使うのかしら」
少し申し訳なさそうにしているアビゲイルと、楽しそうに微笑むエウリュアレ。
なお、エウリュアレの雰囲気的に助けてくれなさそうなので、アビゲイルも助けてくれないと考える。
さりげなくオオガミが言うよりもエウリュアレ言う方が動いてくれるサーヴァントが何人かいるため、彼女が助け船を出さない限りどうしようもないときがあったりする。
「聖杯が貯まるまではメルトの予定なのは変わらないよ。まぁ、来てくれるかは置いておくとして」
「ふふふ。そうね、来てくれれば良いわね」
「ん~……マスターがイベント以降も召喚したいって言ってるの、今のところメルトさん以外聞いてないわね……いないのだけど」
「ゴフッ……マジ無理……このまま縄を切り落とそう……」
「……落ちても平然と着地する未来しか見えないのだけど」
「私がなにもしなくても問題無さそうよね……」
「いや、今回に限っては礼装積んでないからわりと厳しい……」
「でも、乗り越えるんでしょう?」
「大丈夫よマスター。もし本当に落ちたら私が助けるわ」
アビゲイルは微笑み、エウリュアレは楽しそうに笑う。
オオガミは苦い顔になるが、落ちたら本当に助けてもらおうと決意する。
「あぁ、そういえば、高難易度は間に合うのかしら」
「ん~……怪しいね。リンゴの回収も終わってないから、本気でいけば間に合うかもしれない程度かな……?」
「じゃあ、今回は犬の時だけかしら」
「そうだね……アビーはゴリウー系女王のところで頑張ってもらおう」
「ふふん。レベル100になった私の力、見せてあげるわ!」
ドヤ顔のアビゲイル。
エウリュアレとオオガミはそれを見て微笑ましく笑い、直後、命を繋いでいた一本の縄が焼き切られる。
「茶々貴様あぁぁぁぁ!!!」
「マスターに良い思いさせてたまるか! 茶々めっちゃ苦労したんだし、これくらい仕返しても良いよね!」
犯人は考えるまでもなく茶々。なので、とりあえず茶々に向けて叫びを上げつつ、アビーに助けを求める。
そして、すぐに門を潜った感覚があり、次の瞬間には触手に受け止められていた。
「……助かった……」
「あら、本当にダメだったのね」
「間に合ってよかったわ……うっかりしたら間に合わなかったもの」
ほっとするオオガミとアビゲイル。
エウリュアレは必死だったオオガミに驚きつつ、とりあえず縄を焼き切った茶々に矢を射つのだった。
茶々は犠牲となったのだ……
そして、幕間追加……とりあえずリップのだけやって来ます。アビーはまたいつかだ……