明日は石10個……(どうにかして隠さなきゃよね)
「さて、どうしたものかしら」
レース終了と同時に始まったピックアップイベント。とはいえ、オオガミが興味を引かれるかと言われると、いささか怪しいものだった。
では、今エウリュアレは何を悩んでいるのかと聞かれると、ガチャとは切れない縁で結ばれている例の石不足だった。
「ん~……明日には石10個……それだけあったら絶対に回すわ……どこに隠そうかしら。マシュの部屋にでも入れておこうかしら」
「そんな時は私の門の向こうに投げちゃえば良いのよ!」
悩んでいるエウリュアレの後ろから飛び出すアビゲイル。
とんでもないことを言い出したアビゲイルに、エウリュアレは苦い顔をしながら、
「それ、どこに飛ばすつもりなの?」
「未定よ。とりあえずどこか遠いところに飛ばせば良いのよね!」
「……回収できないと意味がないのだけど……」
「……じゃあ、ダメね。この案は廃止にしておくわ」
嬉々として開いていた門を閉じ、別の案を考える。
というより、門を開いてみたものの、流石に賛成されないだろうと思っていたので、別段気にしてはいない。
「そういえば、マスターは今何してるの?」
「茶々さんと一緒に狩りに行ってるわ。ゲームだけど」
「そう……まぁ、気付いてないならいいわ。気付かれると取りに来そうだし。やっぱりマシュの部屋に隠しておくのが一番かしら……」
「そうね、そこが一番かしら。私たちの部屋よりも安全そう」
そう言ってアビゲイルはうなずいた後、ふと、
「ねぇ、そう言えば、エウリュアレさんはどこで寝てるのかしら……私たちの部屋にはいないみたいだし……」
「え? 普通にマスターの部屋にいるけど?」
「そ、そんな……エウリュアレさんはマスターと寝てるの……!?」
「ん~……まぁ、そうね。でも、私は遊んでるだけなんだけどね。その時間しかあまり出来ないもの」
「むぅ……でも、一緒の部屋なのはどうなのかしら」
「誰も気にしてないんだし、良いんじゃないかしら。アビーも来る?」
「えっ、えっ……良いの……?」
「大丈夫よ。マスターも気にしないわ」
「じゃ、じゃあ、今日から行くわ」
若干顔を赤くしつつ、しかし目の輝きを隠しきれてないアビゲイルを見て、エウリュアレは不穏な笑みを浮かべる。
「じゃあ、とりあえず明日の石はマシュの部屋に隠しておきましょう。それじゃあ、また後でね」
「えぇ、また後で。ふふふ。今日は楽しみだわ」
二人はそう言って別れ、オオガミの部屋で再び集まることを約束するのだった。
いつの間にか占拠される事が多いオオガミ君の部屋。エウリュアレに不法占拠されやすいからね。是非もないね。