「あ、資材枯渇ほぼ確定ね」
「判断が早すぎないかしら……いえ、私も思ったのだけど」
シャドウ・ボーダー内から、アビゲイルの門を使ってひっそりと様子を見ている二人。
そして、そこから見えた確実に恒常じゃない雰囲気のサーヴァント。むしろ第二ピックアップに来るかも怪しいが、もし来たとしたらオオガミが瞬時に石を溶かすことは確定していた。
ちなみに、前回隠していた12個の石は、既に消滅していたりする。
「もう隠しても無駄ね。諦めてマシュに怒られるように誘導しましょう」
「売りに行くエウリュアレさん、流石ね。私でも思い付かないわ……!」
「貶してるのか褒めてるのか分からないのだけど、どっちだったとしてもキアラに差し出す気分になったわ」
「それは本当に止めて欲しいのだけど。本気で死んじゃうわ。もう二度と相手をしたくないのだけど」
前回はアーサーを生け贄にする事で逃げたが、今ここで同じことをやると、シャドウ・ボーダーに大きな負担がかかるのは分かり切っているので、アビゲイルに逃げ場はないのだ。
故に、エウリュアレにそれをされると、本気でどうしようもなくなるのが悲しい所だろう。
「まぁ、流石にやらないわよ。とりあえず、今石はどれくらいあったかしら」
「えっと……確か、そろそろ30個になるはずよ」
「えぇ……昨日一瞬で溶かしたばっかりなのに……?」
「うん。マスターの回収分と、手に入った15個で、結構な量になってるわ」
「そう……でも、どうせ一瞬で溶かすのよねぇ……」
「そうね……マスター、何も考えないで衝動的に使っちゃうんだもの……貯蓄するって何だったのかしら……」
「マスターが貯蓄するところなんて、全然見てないのだけど……」
貯蓄するといって、次の瞬間には消し飛んでいたりする。カルデアの頃から全く変わらないので、若干諦めの域に達しているエウリュアレ。完全に、貯められるとは思ってない目だった。
「ん~……でも、中々大変そうよねぇ……アビーが向かうだけでも凄い楽になると思うのだけど。明らかにバーサーカーが多いじゃない」
「確かに……普通に10万以上のHPの敵もいっぱいいるものね……本当に私は編成しないまま行くのかしら……」
「やるって言ったら、本気でやるもの……まぁ、完全に詰んだら諦めてこっちに来るわよ」
「そう……まぁ、前回もそうだったものね。じゃあ、のんびり待つとするわ」
「えぇ。じゃあ、引き続きマスターの観察をしてましょうか」
そう言って、二人はオオガミの観察を再開するのだった。
仕方ないんや……地下牢で会った人物は、精神的に大ダメージを与えてきたので仕方ないんや……全力で回さなきゃダメだと思うんです(真顔