「……おはよう」
「んぇ? あぁ、おはよう。起こしちゃった?」
「いえ、別にそう言うわけじゃないのだけど……」
本を読んでいたオオガミにどこか不機嫌そうな顔をするエウリュアレ。
ベッドを占領していたエウリュアレだが、罪悪感があるかのような微妙な表情をしていた。
「あぁ、良い寝顔だったよっ!!」
「どういう意味よそれ」
「要するに写真を撮ったわけで、それを複数媒体に保存しているわけだ。ちなみにエウリュアレ以外のもある」
「全部ぶっ壊せばいいのかしら」
「それは全力で止めてほしい。破壊されても良い機材に移動させときます」
「それは壊せって事かしら」
「全力で壊さないでくれるとうれしいです」
謝るオオガミを見て、くすりと笑うエウリュアレ。
流石に本気で壊す気は無いが、このノリはわりと好きだった。
「でも、珍しくそこに座ってるのね」
「別に珍しくも無いと思うけどね? まぁ、本を読んでるのは珍しいかもしれないけど」
「そうね。そもそもどこに本があったの?」
「荷物にいくつか入れてたからね。今更になって取り出してきたんだよ。マシュに聞いて、取って来るのに時間がかかったしね。読み始めたのはさっきだよ?」
「そうなの?」
「まぁね。というか、今まで読むだけの時間が無かったというかなんというか。昔と違って、長く離れてたせいで読む速度が結構落ちてるっぽいしね」
「ふぅん? 私も読もうかしら」
「いいよ。移動しようか?」
「いえ、そのままでいいわ」
そう言って、オオガミの膝の上に座るエウリュアレ。
膝の上に座られたオオガミは、少し考えた後、
「髪、ツインテじゃなくて、ポニテにしても良い?」
「あぁ、顔にかかって見辛いの? 貴方がやってくれるならいいわよ?」
「じゃあ、ちょっと失礼するね」
「えぇ、手早くお願いね」
そう言うと、エウリュアレに読みかけの本を渡して、エウリュアレの髪を結い始めるオオガミ。
その間に、オオガミと同じところまで読み進めるエウリュアレ。
オオガミの宣言通り、確かにほとんど進んでいないので、オオガミが結い終わるまでに読む事が出来た。
「さてと。これで大丈夫?」
「えぇ、私としても問題ないわ。ただ、いつもと違うのって、なんだか変な感じね」
「ん~……自分の髪を弄った事は無いから、あんまりわかんないかなぁ……」
「じゃあ、今度やってあげるわ。まぁ、そもそも私は滅多にやらないから、出来るかどうかも分からないけどね」
「あ~……確かに、滅多にエウリュアレが自分でやってるのを見ないよね……大体メドゥーサかアナだよね」
「……いえ、最近は貴方にやってもらってる方が多いわよ……?」
「……まぁ、この部屋で寝てるとねぇ……自然、やるのは俺しかいなくなっちゃうよねぇ……」
何とも言えない表情で、オオガミは笑うのだった。
「さてと、じゃあ、読もうか」
「えぇ、そうしましょ」
そう言って、エウリュアレはオオガミに本を渡すのだった。
妙にほのぼの話が書きたかっただけなんです……