「ま、マスター! 茶々の部屋、異様に寒いんだけどー!!」
そう言って、オオガミの部屋に飛び込んでくる茶々。
それに対し、意外と遅かったなと思いつつ膝の上に乗っているエウリュアレを隣に座らせるオオガミ。
「そりゃ、そうでしょ。異聞帯の、それも寒い地域のサーヴァントを全員その部屋に入れてるし」
「酷いよね! なんで茶々だけそんな寒い部屋に入れられてるのさ!」
「だって、茶々がいると暑いし……少しは冷えるかなって」
「冷えないよ! いや、もし冷えたとしても、それはたぶん冷たくなってるよ!」
「それはわりと大変だ。暖房が無くなってしまう……」
「悪意フルスロットルだよこのマスター! というか、平常時ならそれほど熱くもないと思うんだけど!」
襟を掴まれ前後に揺さぶられるオオガミ。
意識が飛びそうになるが、流石人理焼却を救っただけはある人類最後のマスター。この程度では意識は飛ばさないが、吐き気は凄い勢いでこみあげてくる。
「だって、たまに燃えるじゃん……」
「それはほら、是非もないことだし! 茶々にもちょっとどうしようもできないし!」
「まぁ、涼しくなるかと思っただけなんだけどね。寒いならアビーのところ行けば良いんじゃない? 今なら肖像画描いてくれたりすると思うけど」
「なんで!? あ、あの葛飾北斎っての!? あの、スカディと一緒で来た当日に一気にレベルMAXにされたあの!?」
「凄い何か言いたげな感じだけど、まぁそうだよ。否定はしない。事実だし。それで、行くの?」
「まぁ、そうだね! 行ってくる!!」
そう言うと、茶々は部屋を出て行くのだった。
それを見送ったオオガミは、
「……バーサーカーなのにあそこに突撃するのは、流石だよね」
「分かってて送り込むマスターも、かなり酷いと思うのだけど」
「いや……茶々なら混ざっても大丈夫かなって思って。ダメなら……どうしようか」
「どうしようかしらねぇ……王様の所にでも送り込みましょうか」
「ん~……まぁ、術王様なら大丈夫だと思うんだけど……」
そう考えるが、大丈夫かどうかは茶々次第だろう。
そもそも、茶々が無事に帰って来れたらの話だが。
「まぁ、それもダメだったらしばらくゲームでもしてから何事も無かったかのように部屋に戻そう」
「問題の先送りね……それ、バレたらぶっ飛ばされるんじゃ……」
「その時はアビーを呼び出そう」
「そこは諦めてそのまま受けなさいよ」
「流石に直撃したら死ぬんだけど……」
「まぁ、是非も無いわ」
エウリュアレはそう言って、何事も無かったかのようにオオガミの膝の上に戻るのだった。
極寒の茶々の部屋。占領され、奪われた悲しき茶々の運命やいかに!