「……姉様、何処に行ってしまったんでしょう……」
パンケーキ屋ではぐれてからエウリュアレを探そうとしているアナ。
しかし、実際のところは茶々に引きずり回されて探しに行けていない。
「茶々さん……その、いい加減アナさんを解放して上げても良いんじゃないでしょうか……」
「ヤダ! だってほら、まだ遊び足りないし!」
「この人もサバフェス送りにした方が良いんじゃないですかね?」
「それ、初日に言ったんですよ……全然聞いてくれなかったんですけどね……」
「……えぇ、そうでしょうね……聞いてくれてたら今こうなってないでしょうし」
諦めたような表情で呟くアナ。
騎士姫も苦笑いでついてくるが、既に茶々の説得は諦めていた。
だが、直後の事だった。
「ぎゃああぁぁ!!」
「逃がさないわ……!」
「あははは! アビーの追い方、本当に怖いわね!」
隣の路地から飛び出てきたバラキーと、それを追うアビゲイル。その触手の一本に座って楽しそうに笑っているエウリュアレ。
それを見た茶々達は、
「な、なにあれ! めっちゃ面白そうなんだけど!」
「姉様!? 何してるんですか!?」
「ま、待ってください! えっ!? あれ追うんですか!? 正気ですか!?」
目を輝かせて言う茶々と、一体何があったのかと困惑するアナ。
そして、二人して追おうとした瞬間に、そんな馬鹿なと言いたげな表情で騎士姫が言ったのに対し、
「当然じゃん! あんな面白そうなの、追わないわけないでしょ!」
「姉様がいるんです。追わないわけないでしょう!」
「え、えぇ~……茶々さんはちょっと分かりますけど、アナさんのはどうなんでしょうそれ……というか、観光は?」
「それはまた後で!」
「人が多い方が茶々さんに迷惑をかけられる確率が減りますよ!」
「分かりました追いましょう! 絶対に仲間に引き入れます!」
アナの説得を聞いて瞬時にやる気を出した騎士姫は、魔力放出をしてまで全力で追いかける。
それに気付いたエウリュアレは、
「あら、アビー。後ろについてきてるのがいるわ。とりあえずバラキーを早く捕まえて向こうに行きましょうか」
「ふぇ? あ、本当ね。ん~……もう少し追いかけっこしてたかったけど、一回終了ね。また明日ってことで」
そう言うと、アビーは門を開いてバラキーの足を掴んで引きずり出すと、その場に急停止して後ろから追ってくる騎士姫達を待つ。
「あら、そんなに急いでどうしたのかしら」
「はい! 茶々さんに振り回されてください! 私のためにも!」
「エウリュアレさんエウリュアレさん! ドストレートに面倒事を送り込んできたわよ!?」
「……まぁ、私は気にしないけど……アナは?」
「後ろです。先行してきました。だって茶々さんがいるとなんでか話が出来ないですから……!」
「……茶々、振り回しすぎじゃないかしら……」
「なんだか面白そう。えぇ、バラキーさんは起きる起きない関係無く連れていくとして、面白そうだからついていくわね」
「ありがとうございます! 助かります!!」
そう言って、騎士姫は茶々冒険団に入ってくれるというエウリュアレ達に感謝するのだった。
茶々、いつも暴走してるけど、前回よりエグいくらいに暴れてる……誰がこいつを止めるんだろう……