「……冷静に考えると、聖杯、集まったわよね……」
「QPも種火もないからアナの育成は出来ないけどね」
「いえ……別に私は要らないのですが……既に二つ貰ってますし……」
聖杯の数に気付いたエウリュアレが呟くと、不思議とアナに使う事になっており、アナもそれとなく断っていた。
「なんで聖杯の数を言っただけでメドゥーサに使う事になるのよ?」
「え? エウリュアレがアナのレベルを100にするって言ってたんじゃなかったっけ?」
「そう……だったかしら。まぁ、たぶん言ったのよね……いえ、まぁ、同じ事を言おうとしていただけだから良いのだけど……」
「ですから、私は要りませんって……」
「あら、貴女に拒否権があると思ってるのかしら」
「……姉様にお任せします……」
諦めたアナは、最終決定権をエウリュアレに任せ、話を聞く側に回る。
それを見たオオガミは、少し考えた後に、
「でも、アナ以外に使うとなると……バラキーくらい?」
「ん~……まぁ、それもありかしらね。あぁ、もちろんバーサーカーの方よ?」
「ランサーは……その……あいにくと足りてしまってるんでな……」
「でも、霊基はどうやって戻そうかしら……」
「バラキーは自前で戻れるだろうし、スカサハさんがやったならスカディさんが出来ないわけないのだよ。よって大丈夫」
「スッゴい穴だらけの気もするのだけど……まぁ、大丈夫だと思うことにするわ」
聖杯の矛先がバラキーに向いたが、恐らく最終的には自分に来るのだろうと思うアナ。
だが、アナはそれを言ったりせず、黙っておく。バラキーに渡した方が良いと言っても、無視されるのは目に見えているからだ。
「というか、今気付いたのだけど、周回はまだ終わらないの?」
「あぁ、いや、その……やってはいるんだよ? だけど、ほら。時間がかかるものはかかるんだよ。もう少し待ってて欲しいんだけど」
「むぅ……早めに終わらせてくれないと、こっちは計画が組めないのよ……終わってから全員に招集をかけるんだし」
「うぐぐ……それを言われると何も言えない……って、ジークとかは?」
シャドウ・ボーダーで倉庫整理をしているジークやアヴィケブロン達はどうしたのだろうかと聞くオオガミに、エウリュアレは当然と言いたげな表情で、
「待機組はもう呼び出してるわ。だって、そうしないとどうあがいても間に合わないもの」
「つまり、マスターが周回を終わらせると同時に休暇になるので、早く終わらせたらその分長く遊べるんです」
「だから、早く終わらせてくれないかしら」
「……明日中には終わるように頑張るよ」
そう言って、オオガミは周回に向かうのだった。
聖杯はアナに使うとして、種火を大盤振る舞いし過ぎて枯渇したのが致命的です……QPはそのうち集まるからエエんや……