「え~……皆さんには大変申し訳ないのですが……今からすぐに空港へ直行です。はい。みなさん乗りましたね~?」
「うぅ……なにあのロコモコ……お腹痛いのだけど……」
「サーヴァントすらダウンさせる、何故か天辺にそそり立つゲソが印象的な麻婆ロコモコ……料理人はエミヤとキャットだけだったよね……?」
「何者かの策謀な気がしてならないです……」
オオガミが興味本意で持ってきた『麻婆ロコモコ ~頂きのゲソ天~』という謎料理を見て、隣からエウリュアレが奪っていった後、そのまま倒れた。
なので、そこから今まで看病していたオオガミは、このまま飛行機に乗れるのか不安になっていた。
「ぷぇ~……茶々、お腹一杯食べた。しばらくは食べなくても良いかな」
「だから食べ過ぎだっていったじゃないですか……」
「茶々、怒られてるね」
「気持ち悪くなるまで食べちゃ、メッ! だよ」
「待って! 茶々一度も食べ過ぎたって言ってない! 勝手に話を盛るのはどうかなって思うよ!?」
茶々の悲鳴は三人には届かず、三人は茶々が食べ過ぎたと言って楽しんでいた。
そして、最後尾の方では、
「も、もう無理……マジで食い過ぎた……」
「俺も食い過ぎたねぇ……つか、食ってる俺らより、周りの方が盛り上がってた気がするんだが……」
「どうせそこのポンコツ女神がなんか仕組んだんだろうさ……」
「酷い言いようじゃない! せっかくここまで連れてきてあげたのにその態度なんて……良いわ、表に出なさい。女神の力を見せてあげるわ」
「遠慮しておくわ……オレじゃなくて、こっちの任侠に見せとけよ」
「えぇ~……今は良いかなぁ……帰ってからゆっくり見せてもらうわ……」
「あんた達ねぇ……!!」
怒り頂点とばかりにプルプルと震え始めるイシュタル。
それを見かねたアビゲイルは、
「まぁまぁ、落ち着いて? イシュタルさん」
「そうそう。こんなやつらに奴等に構う必要なんかねぇって。まぁ、事実ではあるんだし、見逃してやったらどうだい?」
「うぐぐ……まぁ、私は別に怒ってないから良いけどね!」
そう言って、そっぽを向くイシュタルに苦笑いするアビゲイルと北斎。
そして、そんなカオスな空間で、ロビンは遠くを見ながら、
「おかしいなぁ……俺の予定じゃあ茨木のお守りをするつもりは無かったんだがなぁ……なんで俺の役目になってるんですかねぇ……」
「んぁ? 緑の人よ。何か言ったか?」
「なんでもねぇですよ。というか、どれだけ食うんですかオタクは」
「ふふん。当然であろう。吾は鬼だからな。大いに奪い、大いに喰らう。これは霊基が変わろうと変わらぬものよ。故に人間。喰われたくなければ、供物を捧げるのだなぁ……!」
「へいへい。んじゃ、献上品の飴ちゃんですよ~」
「うむ。許すぞ!」
「……鬼って、こんな簡単に懐柔できるもんかねぇ……」
ロビンはそう呟きつつ、バスの外をぼんやりと見るのだった。
誰だ麻婆ロコモコとか考えた人は!! 出てきなさい!!
というか、今回妙にイシュタル・新シン・アンリの三人が出張ってた気がする……関係性皆無の様な……?