「ふぅ……疲れたわ」
「エウリュアレは何もしてないでしょ……むしろ、疲れさせる方だったじゃん」
「…………」
「あっ、痛い痛い痛い。太ももを抓ってくるのは止めて!」
オオガミの膝に頭を乗せていたエウリュアレは、無表情で枕を思いっきりつねる。
そして、オオガミの悲鳴を少し聞いたあと、手を離して、
「そうやって、毎度変なことを言うからこういう目に遭うんでしょ?」
「な、納得いかない……」
つねられた場所が、エウリュアレの下なので、押さえることも出来ずに半泣きになるオオガミ。
その事を分かっていてやったエウリュアレは、楽しそうに微笑んでいた。
「それで、何をどう思ってエウリュアレは膝枕を要望してきたの?」
「最近ドタバタしてたから疲れただけよ。別に、深い意味はないわ。ただ、そのうちここが私専用の席じゃなくなると思って」
「何の話ですか……そもそも、専用席にされた覚えはないんだけど」
「私がそうと決めたらそうなるのよ」
「えぇ……」
オオガミがそう呟くも、エウリュアレはそのまま寝に入る。
それに気付いたオオガミは、エウリュアレの頭を撫でつつ、どうするかを考えていた。
すると、
「マスター! 遊びに来たわよ!!」
「お母さんあそぼー!!」
「私も来たよ、マスター!」
「流石に三人も抑え切れませんでした……」
アビゲイル、ジャック、バニヤンの三人と、引きずられるように入ってきたアナ。
単純に力で引っ張られてきたんだろうな、と思いつつ、諦めるオオガミ。
「エウリュアレが寝てるので、静かに入ってきてね」
「むっ。エウリュアレさんが寝てるのはいいけど、なんでマスターに膝枕をされてるのかしら!!」
「じゃあ私は右~」
「じゃあ、私は後ろだね!」
「あぁっ! ずるいわ!!」
アビゲイルが文句を言っている間に、ジャックは右側を、バニヤンは背後を陣取る。
エウリュアレが左側に横になっているせいで、もう取り付ける場所は無いのだった。
「うぐぐ……まさか先を越されると思わなかったのだけど……!! ジャックとバニヤンは良いとしても、エウリュアレさんはそろそろ自重してほしいわ!」
「姉様が自重するわけないじゃないですか。姉様ですし。基本自由ですよ、あの人」
「アナ……それ、本人に聞かれたら酷い目に遭うと思うんだけど……」
「大丈夫です。マスターがいるなら、言った本人よりもマスターの方に八つ当たりしますし。大丈夫です」
「どの辺が大丈夫なのかな!? 明らかにオレが被害に遭うのは確定したって事じゃないの!?」
「静かにしてください。姉様が起きたらどうするんですか」
「んな理不尽な……!?」
そうオオガミが言った時だった。
我慢の限界が来たのか、アビゲイルがオオガミの隣を奪うために、エウリュアレへ跳びかかるのだった。
アビゲイルのキャラがダントツで迷走してる(今更