今日のカルデア   作:大神 龍

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ウサギ爆走事件終結…?(まだ、第一の事件が終わっただけなのじゃった)

「それで、結局どこに逃げたのさ」

「知らん。つか、なんで見つからないんじゃ」

「もうかなり見て回った気がするんだけど……」

「まさか、部屋の中にいるとか……」

 

 いくら探しても見つからないウサギ。一発で見てわかるほど大きいらしいのだが、ここまで一切見かけないと言うのが気になる。

 

「部屋の中に入れる大きさにはしておるが、いくらなんでもそこまで操作がうまいわけ無いじゃろ」

「そうよね。初めて乗ったんですもの」

「あの……乗ると同時に逃げ出したんですよね…?」

「「あっ」」

「こいつらまるで使えない! マシュ! ナーサリーの部屋に向かうよ!」

「は、はい!」

 

 乗ったばかりだと油断していたが、冷静に考えれば乗ると同時に逃げているのだ。どう考えても出来そうだ。

 

「というか、マスター。なんでナーサリーの部屋なんじゃ?」

「ナーサリーは小さな女の子だぞ? 新しいおもちゃを手に入れたら、自慢したくなる。身近なやつにね。そして、ナーサリーの部屋にはその身近なやつである、チビノブが大量にいる!」

「そうか! まず最初にチビノブに自慢しに行くと踏んだ訳じゃな!? だが、そんなに簡単に見つかるか?」

「ふっ。当然、見つかる気はしない!」

「すっごいドヤ顔でバカみたいなこと言っとるんじゃけど!」

 

 ノッブの言うように、ドヤ顔で言い切るオオガミ。

 だがもちろん、何も考えていないわけではない。

 

「ナーサリーが通ったのなら、目撃証言とかあると思うんだよ。なら、それを辿っていけば良いって訳だ」

「なるほど。でも、そんなに簡単に見つけられるでしょうか…」

「まぁ、最終手段はあるから良いんだけどね。っと、見えてきた」

 

 視界に入るナーサリーの部屋。そこには、確実に通ったであろう跡が残っていた。

 

「ノ、ノッブゥ……」

「ノッブゥゥ……」

「ノノノ、ノブゥ」

「おいなんじゃこれはまるで儂が轢かれたようなんじゃけど!」

 

 ぶっ倒れているチビノブ達を見て、悲鳴を上げるノッブ。

 

「さらばノッブ……良い奴だったよ」

「安らかに眠りなさい」

「信長さん、また会える日を」

「おいぃ! アッサリと儂を殺しに行くな!!」

「いや、ほら。今言えって言われたし」

「私は空気を読んだだけよ」

「私は先輩に便乗しました」

「つまり全体的に俺のおかげというわけだ」

「つまりマスターが全体的な原因じゃろ」

「ばれたか」

 

 ノリノリで言ってくるオオガミ達三人に突っ込むノッブ。なんだかんだ、楽しそうだった。

 

「それで、この惨状を見てどうするんじゃ?」

「いや、ほら。こっちから来て会わなかったんだから、明らかに向こうにいるでしょ」

「完全に何も考えてなかったじゃろ」

「そんなことないって」

「まぁ、別にいいんじゃけど……ちゃんと止められるんじゃろうな……」

「最終手段のエルキドゥと土方さん」

「破壊する気じゃ!!」

「とりあえず、探しに行こうか」

 

 そう言った時だった。

 

 ズシン、ズシンと響く振動。

 まるで、こちらに何かが向かってきているかのような振動がする。

 

「……これはダメな奴。逃げるぞ!!」

「えっ!? は、はい!!」

「結局逃げるのか!」

「私まで潰されるのは勘弁よ!!」

 

 全力で逃げ出す四人。だが、明らかに近づいてきている振動。

 振り向くと、そこには迫ってくる巨大なウサギが――――

 

「何アレ何アレ!! 絶対危ない奴じゃん! 壊そうよ!?」

「儂らがどれだけ苦労したと思っとるんじゃ!!」

「そうよ! 私の趣味の時間まで潰したのよ!?」

「確かにそれは可哀想だけども、それでもアレは普通に危険でしょ!!」

「それでもマスターならどうにかできるって思っとったんじゃけどね!?」

「せめて魔術礼装がカルデア戦闘服だったらガンド出来たんだけどね!?」

「なんでちゃんと着ておらんのだ!!」

「こんなことになるなんて思ってなかったからじゃないかな!?」

「くぅ……何ならできるんじゃ!?」

「応急手当と瞬間強化、緊急回避!」

「じゃあ緊急回避であれを避けて着替えてくるんじゃよ!!」

「無茶を言うね!? そもそも俺を対象にできないと思うんだけど!?」

「そこを突かれるとは思わなんだ……ならどうするんじゃ!」

「えっとえっとぉ……あっ! パッションリップ! パワーあったはず!」

「ふむ……じゃあ、儂が呼んでこよう。さらばじゃ」

 

 そう言うと、ノッブの姿が透明になる。

 

「あっ! チクショウ、逃げやがった!!」

「ノッブめ! 後でルールブレイカーを叩き込んであげるわ!!」

「賛成です! というか、先輩! 追いつかれそうなんですけど!!」

「なっ! くぅ……後ちょっとで休憩室だっていうのに……!!」

 

 悪態を吐きながら走っていると、ちょうど休憩室から人が出てくる。

 

「え、エドモン!」

「ん? マスター……いや、皆まで言うな。安心するがいい」

 

 直後、エドモンの姿が消え、後ろで激突音がする。

 

「さて、おそらく中にいるのはナーサリーか。なら、力を抑えた方が良いな……フッ!」

 

 ガンッ! と鈍い音を立ててウサギは転ぶ。

 しかし、傷がついていない所を見るに、中々に頑丈らしい。

 

「中々硬いな……だが、足止めという役目は果たしたな」

「もうっ! 痛いじゃないの!!」

 

 突如響く声。声の発生地点はウサギからで、声色はナーサリーだった。

 

「暴れている方が悪いだろう。そろそろ降りたらどうだ」

「むぅ……確かに、これに乗ってると皆に怖がられてしまうわ。じゃあ、降りる」

 

 その声と共にウサギは起き上がり、胸の部分が開く。

 その中から出てきたのはナーサリー。どうやらコックピットはそこらしかった。

 

「でも、このウサギさんはどうしましょう。ここに置いておくのは不味いんじゃないですか?」

「ん~……エルキドゥに頼む? 荷運びはエルキドゥが最適だと思うんだけど」

「索敵から荷運びまで任されるエルキドゥ……それだけ有能なのかしら?」

「土方さんやパッションリップさんでも大丈夫だと思うんですけどね。あ、エルキドゥさんは鎖で全体を固定できる利点がありましたね…」

「そう言う事。じゃあ、エルキドゥを呼んでこようか」

 

 こうして、ウサギ爆走事件は終わったのであった。

 

 その後、ウサギはナーサリーの部屋に置かれ、時たま乗っていたりする。




 本当はもう何人か出したかったんですが、ちょっと限界でした。時間的な意味で。

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