「……そういえば、エウリュアレってどこに行ったの?」
「なんだよマスター、いきなりだな」
再びAP回復待ちの休憩中のこと。
ふと思ったオオガミが呟き、アンリがそれに反応する。
「いやね? 流石に三日間帰ってこないと心配になるじゃん。サバフェスの時でも、そんなに長期間姿を見ない時はなかったし」
「あ~……なるほどな。まぁ、そんな気にすることでもないだろ。マスターみたいな人間じゃねぇんだ。流石にそう簡単には死なねぇって」
「ん~……そうは言ってもねぇ……心配なものは心配なのよ」
「アンタは母親かっての。流石にそこまで心配する必要はないって」
「むぅ……」
悩ましいような声を上げるオオガミに、アンリはため息を吐く。
「とりあえず、周回しないとかなぁ……」
「そうだな。んで? 今は何をしないとだっけか」
「ホムンクルスを30体かなぁ……サクッと終わらないかなぁ……」
「行かなきゃ終わらねぇし。ほら、さっさと行くぞ」
アンリはそう言って立ち上がり、オオガミに手を差し出す。
「うへぇ……行かなきゃだよねぇ……」
「当たり前だろ。でなきゃ終わらねぇっての。ホムンクルス30体くらい余裕だろ?」
「そうだけども……まぁ、美味しいイベントではあるし、やろうか」
そう言ってアンリの手を取って立ち上がるオオガミ。
そして、スカディに声をかけて周回を再開するのだった。
* * *
「……そろそろ一回帰ろうかしら」
そう呟くエウリュアレに、大判焼きを受け取っていたアナとアビゲイルが振り返る。
「突然どうしたんですか姉様」
「まだ橋の向こうに行ってないけど……もう帰るの?」
「流石にね……三日くらい帰ってなかった気がするし、一回戻らないとマスターが文句言いそうだし」
「……私、そんなこと言われた覚えがないのだけど」
「姉様といると、わりと良くあるやつですね」
「私もそんなに言われたことないわよ……適当なこと言わないでほしいわ」
アナに文句を言いつつ、大判焼きを受け取るエウリュアレ。
アビゲイルは首をかしげつつ、
「でも、どこにいるのかしら。場所がわからないと門を開けないのだけど」
「そうねぇ……確か、城があったわよね。ちょっとそこに行ってみましょう。あぁ、でも、正確な場所がわからないなら止めといた方がいいかしら。方角的にはあっちのはずだし、歩いていきましょうか」
「食べ歩きは一時中断ね。うん」
「一回帰って顔を見せたらまた再開よ。そんな長くはいるつもりはないもの」
「そうですか。じゃあ、早めに行って済ませてしまいましょう」
そう言って、三人は歩き出すのだった。
なんか、エウリュアレって毎度食べ歩きツアーしてる気がする……