「さてさてぇ? クエストも残り少なくなってきたが、やる気のほどはどうだ? マスター」
「ぼちぼちってところかな。まぁ、リンゴ使ったら終わるでしょ」
そういうオオガミの隣には、既に銀リンゴが積まれていた。とはいえ、実際にはほとんど使わないで終わる予定だった。
「うぅ……私はそろそろ、休みたいのだが……」
「……スカサハ様は、その、絆マになるまでは周回するかと」
「いや、流石に働かせ過ぎだと思うのだが。私も疲れるんだぞ?」
「分かってはいるんですけど……あ、ソフトクリーム食べる?」
「それは食べる。む、今誤魔化された気がしたのだが……」
「おいマスター。実はチョロいだろこの女神」
「アンリ。それ以上はいけない」
ソフトクリームを貰ってご機嫌になったスカディを見て、その残念さに苦笑いになるアンリ。
オオガミはそんなアンリに突っ込みつつ、アンリにもソフトクリームを渡す。
「ところで、あの女神達はどこ行ったんだ?」
「エウリュアレ達の事? それなら、また食べ歩きに行ったよ」
「ま、またかよ……暇なのか?」
「まぁ、気にしてないんだけどさ。ただ、お土産くらい持ってきてくれても良いんじゃないかなって、時々思う」
「あ~……いや、あれじゃね? お土産買って、渡すつもりが気付いたら食べてる感じのやつ。あんな感じだろ」
「あぁ、なるほど。納得できる。それなら確かに持ってこないよね」
「……適当に言ったんだが、納得されるとか思わなかったわ」
オオガミの反応に困惑するアンリ。
とはいえ、エウリュアレならばやりかねない気がするのがまた不思議なところだ。
「つか、マスターはあんまりついて行かねぇけど、クエストがあるからなのか?」
「まぁね。暇があるなら食べ歩きに参加したいし。正直、エウリュアレにレストランに誘われたときは結構考えた。行こうかと思ったけど、アナを迎えに行かせている間に行くのもどうかと思って止めたんだけどね……」
「そこは行けよマスター。男らしく行けって」
「流石に頼んでおいて、放置して食べに行くのはどうなのさ……」
「……変に良いやつなんだよなぁ、このマスター。普段は人の事を生け贄にして逃げるくせに。むしろその時こそ行っちゃうべきだったろ」
「うぐぐ……それを言われると耳が痛い……まぁ、周回が終わったら行くよ」
「……よし。じゃあさっさと終わらせるか。四元素アイリとか言うあいつらをさっさとぶっ飛ばしてエウリュアレを呼びに行くぞ」
「えっ、ちょっと待ってよ!」
そう言って、オオガミとアンリアンリは周回を再開するのだった。
エウリュアレが出ないのに、エウリュアレが話題の中心にいる不思議……