「裁縫とか出来るようになりたいよね」
「だから一式揃えてきましたってか。もうどこから突っ込めば良いんだよ」
明らかに暴走しているオオガミ。
その手には、昨日と同じようにいくつもの袋があり、今回は更にミシンも買ってきたらしい。
「んで、その荷物どうするんだよ。アビゲイルに送ってもらうのか?」
「予定としてはね。ただ、いつ帰ってくるのか分からないから、その間どこかに保管しておかないと……」
「さっさと買うから……呼び戻して送りゃ良いのに」
「出来たら苦労しないんだよね……仕方ないから待つしかあるまいよ」
どうしたものかと悩むオオガミに、呆れるアンリ。
そこへ、スカディがやって来て、昨日買った荷物を覗いていた。
「ふむ……これは、服か? サイズから見て、一昨日の者達へのか。ふぅむ……そうだ。私のも新調してくれないだろうか」
「えっ」
「おぅ、良かったな。直々の依頼だ。頑張れよー」
楽しみにしているような表情でオオガミを見つめるスカディ。
それに戦慄するオオガミと、楽しそうに笑うアンリ。
真っ先に思ったのは、はたしてどのような物が似合うだろうかということ。
「よぅし……探しますよ! 要望はありますか!?」
「そうさなぁ……動きやすい服が良いな。可愛らしいのも良いが、些か私には……いや、なんでもない。まぁ、好きに見繕ってくれるとありがたいよ」
「ふむふむ……じゃあ、頑張ってみますね!」
「あぁ、任せたぞ」
そう言って、どこかへ歩いていってしまうスカディ。
それを見送ってから、オオガミはアンリに向けて、
「すまないアンリ……アンリには、もしかしたら死んできてもらう必要があるかもしれない……」
「は? いやいや、なんでだよ。唐突すぎるだろ?」
当然の反応だった。
だが、オオガミは酷く深刻そうな顔で、
「……スカディのサイズが分かんない」
「……オレに頼むのはおかしいだろ」
要するに、スカディの体型を測ってこいという、遠回しな死刑宣告だった。
アンリとしても、そんな理由で殺されたくはない。
なので、他の人物へ依頼をぶつけさせる。
「あれだよ。アナにやらせれば良いじゃねぇか。別段、俺じゃなきゃ支障がある訳じゃねぇし。むしろ、そっちの方が平和的に解決するだろうさ」
「えぇ……それ、三人とも呼び戻すことになるじゃん……というか、そもそも連絡手段が無いんだけど」
「……チッ。仕方ねぇな。オレが呼んでくりゃ良いんだろ? 任せとけ。すぐ戻る」
そう言うと、アンリはアナ達を探しに行くのだった。
それを見送ったオオガミは、
「……入れ違いにならなければ良いんだけど」
そう言って、荷物をまとめるのだった。
こうしてのんびりしてますが、実はクエストは全部終わっているオオガミ君。今は素材交換を終わらせるために周回中……