「さて。スカディにどんな服を買っていくか。そこが問題です」
「はいはーい。なんでその問題にオレらまで付き合わされてんの~?」
「そうね。まずはそこからかしら。なにか理由があるのでしょう?」
アンリとエウリュアレに言われ、その場の全員の視線を一斉に受けるオオガミ。
それに対してオオガミは、
「それには深いわけがあるのだけど、それは言えない。あと、アンリはこっち側なので悪しからず」
「だからなんで二次被害確定なんですかねぇ!? ちったぁオレにも配慮しやがれ!」
「それに関しては、御愁傷様とだけ。遠慮も配慮もしないで全力で巻き込んでいくね」
「悪びれないどころかむしろ巻き込んでいく宣言されたんだが」
真顔で巻き込んでいくと宣言するオオガミに、アンリは頬を引きつらせながら半泣きだった。
「まぁ、言えないのは分かったけど、そもそもどういうのがあるのかしら。私たちのもちょっと買ってみたいわよね」
「そうですね、行きましょう。私も気になりますし」
「あれ? でも、マシュさん。私が送った荷物の中にお洋服も入ってなかったかしら?」
「そうでしたっけ? 先輩、買いました?」
「それは帰ってからで。まだ準備は整ってないし、アナも戻ってきてないし。なので、まぁ、とりあえず行ってみようか。アンリは行く?」
「オレは待ってるわ……ついて行っても特に何もねぇしな……」
「じゃあ、アナにも伝えて置いて」
「あいよ。んじゃ、待ってるぜ」
そう言って、オオガミ達から離れて行くアンリ。
オオガミはそれを見送って、全員を連れて、エウリュアレ達の服を揃えた店を回ることにした。
* * *
「てなわけで、あいつらは買い物に行ったぜ」
そう言うアンリの前には、アナがいた。
先ほどまでスカディと話していて、ちょうど別れた辺りでアンリと合流したのだった。
「ありがとうございます。というか、本当に伝えに来てくれたんですね……」
「まぁ、約束は守るさ……ただ、とりあえず、帰ってもマスターは殺さないようにな?」
「はい? どういうことですか、それは。なにか私が怒る様な事をしたんですか……?」
「まぁ、うん。知らないならいいんだ。気にするな」
「かなり気になるんですが……とりあえず、マスターを追いますか……服屋に向かったんですよね?」
アンリの不穏な発言に首を傾げるアナだったが、すぐに気を取り直してマスターを追う事にした。
「あぁ、そのはずだぜ。そもそもスカディの服を買いに行ったんだし。むしろそれ以外は無いだろ……」
「そうですか。まぁ、私も姉様用に何か買いたいですし、早く向かわないと財布を盗まないといけなくなりますし」
「まぁ、向こうの方に向かえばいいと思うぜ」
「ありがとうございます。じゃあ、行ってきますね」
そう言って、アンリの指差した方へとアンリは走っていくのだった。
スカディ様、一体どんな服を着せればいいんだ……こう、かっこいい服なら似合う気がするんだけど、可愛い服だと喜んでくれる気がして……うごご……