いざニューヨーク!!(買った服を着て行こうかしら)
「んっ、よし。じゃあ行きましょうか」
そう言うエウリュアレは、オオガミが買ってきたタンクトップとホットパンツを着て、結ってもらったポニーテールを揺らしながらオオガミに手を差し出す。
差し出されたオオガミは、一瞬呆然とした後、カメラを片手にエウリュアレの手を掴んで起き上がる。
「……ねぇ、なんで私の手を取るよりも先にカメラなの?」
「そりゃ、エウリュアレの事を撮るからだけど……」
「……まぁ、良いわ。アナは準備できたの?」
そう言ってアナの方に目を向けたエウリュアレは、一瞬硬直する。
「あ、あの……似合いますか?」
「……ねぇマスター。どういう選択でああなったの……?」
「いや、かなり似合ってると思うんだけど……」
明るい黄色のワンピースを着ているアナを見て、オオガミの襟を掴んで揺らすエウリュアレ。
揺らされているオオガミは、特に気にする様子も無くぐわんぐわんと揺れる視界の中でも冷静にエウリュアレを写真に納めていく。
「で、エウリュアレ的には似合ってた?」
「えぇ、似合ってるわよ。むしろ似合わないわけがないじゃない。なんでそんな当然のことを聞くのかしら」
「いや、本人が一番聞きたがってると思うし……」
そう言って、カメラの方向をさりげなくアナの方へ向けて写真を撮る。
そこには、顔を真っ赤にしているアナがいた。
「ね?」
「……そういう変な気遣いは要らないわよ……!」
「いや、うん。気遣いではなくあの顔を撮りたかっただけなんだけども。とりあえず、俺が言っても効果ないのが分かってるのと、言わせたうえで瀕死にされる覚悟は無いので今から逃げる」
「逃がすとは思わないことね……!!」
「しまった! いつもより運動しやすい格好だから殺される可能性が上がってる……!!」
弓を持ちつつ追いかけるエウリュアレと、写真を撮りつつ逃げるオオガミ。
アナはあまり慣れないワンピースなので、流石にいつもの様に鎌を持って暴れるだけの元気は無いようだった。
そこへやってきたアビゲイルは、白地に黒の水玉模様が入っている半袖のシャツに、赤いミニスカートを着ていた。
「お待たせしちゃった、わ……? あれ、何があったのかしら。早く行かないとギル祭始まっちゃうわよ?」
「あ、アビーさんですか。えっと、いつもの奴だと考えてもらえれば……」
「そういう事ね。あ、アナさん、その服、とっても似合ってるわ!」
「ありがとうございます。アビーさんの服も似合ってますよ。姉様にも褒めていただいたので、今ちょっと表情が緩んでるかもしれないです」
「まぁ。笑顔の方が可愛いわ。えっと、とりあえず、二人は置いて、先に行っていた方が良いのかしら。エミヤさんとキャットさんは先に向こうに行ってお店を構えているらしいから、早速行ってみましょう! 今回はQPでお買い物が出来るから、お小遣いを使えるわ」
「そうですね。私も自分の財布を持って行きます」
そう言って、二人はオオガミとエウリュアレを置いて、先にニューヨークへと向かうのだった。
ちゃんとアナの要望に応えつつ、しかしアナにも流れ弾を当てて行くスタイル。なお、その写真は姉に売りつけるつもりの模様。