「うん。諦めて周回しようか」
「ついにぶん投げたわね。それが賢明だと思うわ」
清々しいほどの笑顔で諦めた宣言するオオガミに、エウリュアレは苦笑いで答える。
「それにしても、まさかそこまでHPがあるとは思わなかったよ……」
「普通に体力がぶっ飛んでるもの……しかも、攻撃力も高い。無理じゃない?」
「うぅむ……取り巻きを倒し続ければいいのかなぁ……」
「難しいわねぇ……」
うんうんと考える二人。とはいえ、エウリュアレに出番が無いのは確定しているので、完全に裏方だったりする。
「まぁ、取り巻きを全滅させてからぶん殴るのが正解かな」
「それで倒せれば苦労しないけどねぇ……っていうか、実は諦めるつもりないでしょ」
「おっと。正解だよエウリュアレ。あの程度で諦められるほど、やわな精神してないんですよ」
「普通に頑丈よねぇ……肉体的にも、精神的にも。さて、それじゃあ周回よね。行ってらっしゃい」
「出稼ぎ担当は行ってきますよ、はい。まぁ、のんびりやってくるよ」
そう言って、手をひらひらと振って周回へと向かうオオガミ。
エウリュアレはそれを見送ってから、何をしようかと首を傾げる。
「アナ。アビーの店に行きたいのだけれど、案内を頼めるかしら」
そう呟くと、アナがどこからともなく現れる。
久しぶりの登場の仕方なので、何となく恥ずかしいのか、若干顔を赤くしているアナ。
「アビーさんの店……ですよね。じゃあ、案内しますね」
「えぇ、お願いね」
そう言って、アナはエウリュアレを案内するのだった。
* * *
「イカ焼き、買いませんかー!」
「おいしいよ~!」
「たこ焼きもあるよ~!」
そういう三人の屋台は、いつの間にか金ぴかに飾られていた。
原因として、昨日装飾を施していったギルガメッシュと茶々のせいだろう。
悪乗りに悪乗りを重ねた結果、いつの間にかこんなことになってしまっていた。
「ふはははは!! 流石にこれは我もやり過ぎたかもしれないな!」
「ふはははは!! 茶々も正直これはもう悪趣味の域だと思う! 殿下もドン引きするんじゃない!?」
「あはは……なんで、私のお店がこんなキラキラ輝くことになっちゃったんだろ……」
元凶が隣で爆笑しているのだが、流石に強く出る事も出来ず、苦笑いするしかできないのだった。
「来たわよアビー。いつの間にか、とんでもない装飾を施しているわね」
「あぁ、エウリュアレさん……いえ、これは私がやったんじゃなくて、隣の二人がやったのだけど……どうしてこうなったのかしらね……」
そんな事を言いつつ、エウリュアレとアナはイカ焼きとたこ焼きを一つずつ頼み、出来るまでの間アビーと話すのだった。
究極散財ウーマンと大金持ち賢王様。相性がいいのか悪いのか……
エキシビションは許さん(発狂