「むっ、今唐突に閃いたっ!」
「悪巧みを?」
「ひ、酷い言い様だよ……」
目を見開いて、まさに閃いたとばかりの表情をしたオオガミに、合いの手を入れるエウリュアレ。
流石に悪巧みを考えていたわけではないオオガミは、半泣きだった。
「それで、何を思い付いたのよ」
「あぁ、うん。最近お菓子を作ってないからどうしようかと考えてたんだけど、そうだよね。ここで作れば良いんだよね」
「その発想は分からないわ。というか、道具も何もないでしょ?」
「そう、そこが問題だった。だけどね……どうにかなることに気付いたんだよっ!」
オオガミが叫ぶと同時、オオガミの数歩後ろに落ちるメカエリビーム。
まるで雷が落ちたエフェクトに見えなくもない。
ただ、うっかり当たっていたら、流石のオオガミも瀕死は免れないので、少し不安になるエウリュアレ。
「……で、その方法は?」
「アマゾネスCEOに持ってきて貰えば良いんだよ!」
「あ~……なるほどねぇ~……うん。機材が揃っても、ダメだと思うわ。ここだとどんな邪魔されるか分からないもの」
「いや、簡単なものを作るだけだし……砂糖と水と火があれば出来るかなぁ……」
「……飴でも作るのかしら……」
「まぁ、そんなところ。っていうか、BBは?」
「聞きながら真っ先にバニヤンの肩を確認しないで……普通に探索しに行ったわよ。AP回復するまでには戻ってくるって言ってたし、たぶん大丈夫よ」
「そっか~……」
そう言って、バニヤンから視線を外すオオガミ。
完全に混ざりに行っているのだと思っていたので、若干期待外れである。
「それで、本当に作るの?」
「ん~……そうだなぁ……いや、作るつもりではいたんだけどさ、冷静に考えると、ハロウィンが近付いてきているわけで……そっち用にも作っておかないと不味いわけで……そっちは真面目に作りたいからキッチンを使いたいわけで……うぅむ……」
「普通に帰ってからにしなさいよ。別に、今ここで作る必要もないんだし」
「それもそうだね……とりあえず、何を作るかだけは決めておこうかな」
そう言って、窓際に座りつつメモ帳を取り出すオオガミ。
エウリュアレは隣に座りつつ、
「……それ、私も提案して良いのかしら」
「もちろん。エウリュアレにも渡すしね」
「……複雑ね。怒れば良いのか、喜べば良いのか」
「素直に思った方で良いんじゃない?」
子供扱いされていると怒るべきか、お菓子をもらえることを喜ぶべきか。
エウリュアレはそれを考えて、しばし考え込んでしまうのだった。
珍しくバニヤンサイドがほとんど無い……うぅむ、入れるタイミングを見失った……