「なんでッ!! アサシンが!! いるのよ!!!」
「私も、今日はアーチャーだって聞いたから、エルキドゥいないからウサギさんに乗る予定だったのに!! なんでこんなところに来ちゃったのかしら!!」
襲い来るケンタウロスの群れを叩きながら文句を言うエリザベートとナーサリー。
昨日はセイバーだけだったので、今日もアーチャーだけだと思ったのが運の尽きだった。
迫り来るアサシンの軍勢。どうせ出て来ても最後なのだろうと油断していたのだが、まさかの想像の真逆。最後の一体以外全てアサシンなのだった。
「あぁもう!! ナーサリー!! マスター! 私、歌うわよ!?」
「援護するわ!! 頑張って! エリザベート!!」
「耳栓耳栓……待って。これで防げるのか?」
「あ、私が盾になりますから大丈夫ですよ。先輩」
「マシュ、ありがと」
エリザベートが地面に槍を突き刺すと同時に地面から出現する館の様な巨大スピーカー群。
「サーヴァント界最大のヒットナンバーを聞かせてあげる!!」
そして、突き刺した槍の上に立ったエリザベートは、
「飛ばしていくわ!! 優雅に無様に泣きなさい!!
響き渡る轟音。その場にいたケンタウロス達は、その轟音を受けて倒れたり頭を抱えたりしている。
そして、そこに追加される一撃。
「繰り返すページのさざ波、押し返す草の栞……全ての童話は、お友達よ!!」
群れなすお菓子の軍勢。それは、生き残っているケンタウロスの群れに容赦なく襲い掛かり、倒していく。
「ふふん。私の歌を聞けば、皆すぐにおとなしくなるわ。まぁ、盛り上がりに欠けるっていうのはあるんだけど」
「マスターさん……もう疲れたのだけど」
「ん~……素材が取れるのはおいしいからなぁ……しかも、ついでに種火も採れるし」
「アーチャーとアサシンの種火しか採れないじゃない。それに、隕蹄鉄とか、いつ使うのよ」
「使う時がいつか来るかもしれないでしょ。その時に足りなかったら後悔するし」
「むぅ……それもそうね。まぁ、私は思う存分歌えるから、あまり文句は無いわ。歌う前に退場しちゃう時がたまにあるのが許せないくらいで」
「それはその、ごめん。頑張ってはいるんだけど、アサシンのチャージ速度が速いから間に合わないんだよね」
「それくらい、分かっているわ。マスターだって頑張っているし。それで、どれだけ回るのかしら」
消し去った敵が、徐々に蘇ってきたところで、エリザベートがオオガミに聞く。
「いつも通りの疑問だね。うん、まぁあと一回くらいが限界でしょ。そもそも、エリちゃんが言ったように、そんなに必要に迫られてるわけじゃないし、無理に回るほどじゃないよ」
「そう。じゃあ、最後の大暴れって事ね!!」
「本気で遊ぶわよ!!」
最後とばかりにやる気を出す二人なのだった。
本当に、想定外だったんですよ……なんだあのアサシン群……シャレにならんのです……
エリザベートがさっくり殺される時が多かったんですけど。本当に、歌えなかったんですけど……