「んっ、んんっ? ん~……!! んおぉ……これは旨いな! もっとだ、もっと寄越せぇ!」
「バラキー、もうちょっと静かにした方がいいわ。また鬼が来ちゃうわよ?」
「復活したのなら、殲滅し直せば良いのでは?」
「あまりの物騒さに茶々ビックリなんだけど!」
フードコートで騒ぎながら食べているのは6人。
周囲にはカボチャ頭の鬼や武者が倒れているが、誰も気にしない。
「うむ、焼きそばはやはり旨いな。流石だ赤い人」
「ハンバーグも美味しいよ!」
「うん! バラキーも食べて食べて!」
「止めろぉ! 吾に貢ぐのは良いが、一気に渡されると困る! せめて一つずつだ!」
「「は~い」」
「分かってないではないがむっ!?」
差し出される二つのハンバーグに、一つずつにしろと抗議するバラキーだったが、結局言葉は聞き入れられず、無情にも無理矢理口の中に押し込まれるのだった。
「はぁ……どうしてこうも、バラキーは弄られ役なのかしら」
「前からですし、今更な事です。特に食事やお茶の時は基本こんな感じですし。ただ、息を詰まらせて死ぬのは止めてくださいね。笑い話にしかなりませんよ」
「む、ぐ、が……んぐっ……ぷはぁ……! ほ、本気で死ぬかと思った……吾、ハンバーグで殺されかけるとは思わなかった……」
「喉にハンバーグを詰まらせて死亡……餅よりも無様なのでは?」
「ダメだよバラキー。ちゃんと噛まなきゃ」
「うんうん。噛まないと体に悪いよ」
「誰のせいで死にかけたと!? 言っておくが、吾は焼きそば以外持ってきてないからな!?」
バラキーを殺しかけた犯人二人は、さも自分達は悪くないかのように言うが、当然バラキーは怒る。
とはいえ、直接攻撃をしたりしない辺り、自制は出来ているのだろう。
「まぁまぁ。立派なジャパニーズオーガがハンバーグで死ぬだなんて思ってないわ。むしろあれくらい普通じゃないの?」
「流石の鬼も、あれほど豪快には食べんわ!」
「あのサイズを普通にされると、茨木さん達が異常なまでに小さいことになるんですが……」
「じゃあ、バラキーは小さいんだ!」
「いいなぁ、私は大きいもん!」
「ばにやんは小さくなれるだろう!? というか、今既に小さいだろう!?」
「まぁまぁ。落ち着いてバラキー。あんまり怒ると、今度は咳き込むわ」
「ぐ、ぬぅ……はぁ、まぁよい。不味くはない、むしろ旨かったからな。吾は怒ってない」
「バラキー、時々すっごい優しいよね。これがリーダーってやつ? 茶々憧れちゃうな~!」
「む、ぅ……いや待て。それは鬼としてのアイデンティティの喪失じゃないか?」
「まぁ、そういうこともありますよ。そして、それを無理に挽回しようとすると取り返しのつかないことになる事も。食べ終わったらマスター達のところへ戻りましょうか」
アナはそう言って、持っていたホットドッグを頬張るのだった。
平和な食事回。バラキーが死にかけているが平和です。