「一戦も勝てなかったどころか、一撃も当てられなかったのだけど」
「今回は趣味枠じゃなくて実用枠だから……というか、ステンノ様は既に召喚済みだから、そのうち戻ってこれると思うんだけど」
「まぁ、そもそもカルデア以外にあれだけサーヴァントを置いておける場所はあるか分かんないんじゃけどね!」
「今の状況を理解していたら出ないセリフですね。まぁ、それもこれも、BBちゃんの活躍あってこそのものですけど!」
オオガミの膝の上に頭を乗せてうちひしがれるエウリュアレ。
その頭を撫でつつ、苦笑するオオガミ。
とはいえ、そのうち再召喚されそうなステンノ様にチケットを使う予定はなかった。というよりも、
「もう、チケット使ってるんだよね」
「!?」
飛び起きるエウリュアレ。いつもの冷静さはどこへ消えたのかというほどに取り乱しているように見える。
「誰を召喚したの?」
「ん~……クイックアーチャーかな」
「アルテミスの所の狩人ね!? えぇ、えぇ。よくも
そう言って、何処かへと走り去るエウリュアレ。
オオガミはそれを見送り、どうしたものかと悩む。
「ん~……あの情報だけですぐに気付いたのはいつも通りとして、その問題のアタランテさんが何処にいるかってことです」
「えっ。マスター、知らずにいたんか? あやつなら今アナスタシアの所じゃろ。現状、コタツが実装されてるのあそこだけじゃし」
「コタツが実装されてるからって……いやいや。猫じゃないんだから……」
「まぁ、猫っていうよりも、虎や豹ですよねぇ……あれっ? どっちも猫科ですし実質同じじゃないですか?」
「BBはそうやってすぐに喧嘩を売りに行くぅ……そういうところだよ?」
完全にアタランテを猫扱いしているBB。
それに対し、オオガミはため息を吐く。
「私、事実しか言ってないのに喧嘩を売りにいってるって言われるの、スッゴい心外なんですけど。というか、ここにはいつ設置されるんですか!」
「自分達で作るしかないかと」
「何でここだけ自給自足なんです!?」
シャドウ・ボーダー内で最大の自給自足一派。素材、アイテム、遊具に至るまで自主製作しているという集団。更に言えば、後は料理枠さえいればある意味独立できるレベルだったりする。
「さて……とりあえず、エウリュアレがアタランテさんを捕まえる前に保護してこようかな。およそアナを引っ張っていくだろうし。レベル100が二人いたら勝てないって」
「ん? 何言っとるんじゃ。三人じゃろ。アビーおらんし、エウリュアレと一緒じゃよ?」
「……一番ダメなやつじゃんね!?」
ノッブに言われ、オオガミはアタランテがいるであろう場所へ走っていくのだった。
アタランテ姐さん、さりげなく昨日から周回にいるという。幕間やる前で周回できるのは少し楽……まぁ、威力足りないんですが。