「なんか強くなった気がするわ! 特に宝具!」
「そうね……宝具レベルがアップしてるわね……」
「どうしますか姉様。先にマスターを捕まえて吊るしますか?」
宝具レベルが上がって喜ぶアビゲイルと、アタランテとマスターのどちらを先に吊し上げるかを聞いてくるアナ。
そもそも、アナに関しては前提が違った。
あくまでもエウリュアレは、アナに挨拶に行くと言っただけである。そこから吊し上げる方向へと変わったのは、はたしてエウリュアレのいつもの行い故か。
「というか、アビゲイルの宝具レベルが上がったってことは、石を使ったってことよね? 私よりも、いち早く反応するのって――――」
直後、響き渡る轟音。
どうやら、彼女も気付いたらしい。
「……まぁ、あっちは彼女に任せましょうか」
「マシュさんなら問題ないでしょうしね」
「ふふっ。早くこのパワーアップした力を使ってみたいわ!」
三人はそう言いつつ、アタランテを探すのだった。
* * *
「っとと。危ないのぅ……儂が何をしたと言うんじゃ」
「いえ、信長さんではなく、先輩に用があってきたのですが」
既に数回ぶつかり合って、ようやく話し始める二人。
後ろで見ているBBは、我関せずと言わんがばかりだった。
「いやぁ……すまんな。儂にはそれをどうしようも出来ん。なんせマスターおらんし」
「……となると、一昨日来たアタランテさんところでしょうか……仕方ないですね。BBさんを一度叩いてから行きます!」
「あれっ!? 今スッゴい理不尽にこっちに照準向きませんでした!?」
とりあえず八つ当たりをする。そういう意思を感じたBBは、理不尽さに悲鳴を上げるのだった。
* * *
「……なんで俺だけ吊し上げられてるのかな?」
逆さ吊りにされているオオガミと、それを見張るアナとアビゲイル。
それを見ているのは、コタツに入って出来立てのアップルパイ食べている、アナスタシア、スカディ、アタランテ、エウリュアレの四人。半分は神なので、若干強張っているアタランテだが、隣のアナスタシアは平然としている。
「ふむ。それで、どのような余興が始まる? 吊るして終わりではあるまい」
「待って待って待って。なんで更に過酷にしようとするんですかスカサハ様! いやスカサハ様ならやりかねないけども!」
「マスター。私は別に苦しむ姿がみたいという訳ではない。ただ、恐ろしいほどに暇だから、何かを見たいというだけで、他意はない」
「えぇ……」
「じゃあ、その状態でアップルパイおかわりをお願い」
「エウリュアレが一番悪魔だよ……アビー。移動だけお願い」
「マスターの、出来ないって言わないところは凄いと思うわ」
そう言いつつ、アビゲイルはオオガミをキッチンに連れていくのだった。
姉様過激派なアナ。一体どうしてこうなってしまったのか……
あ。アビゲイル出ました(ドヤ