「……明日からだね」
「吊るされた状態でキメ顔しないで。笑っちゃうわ」
昨日から引き続き吊られているオオガミ。
明日からイベントということで張り切っているようだが、吊るされているので格好がつかない。
「本当にその体勢で作り上げるとは……さては人間ではないな?」
「ちょっと待って。人間だから。超人間だから。人間以外の何者でもないから!」
「まぁ、今更よね」
既に何度も言われている光景。
新人のアタランテにすら言われるのだから、相当なものだろう。
「それで、まぁ、確かに明日からイベントなのだけど。でも、ボックスは10個までよ?」
「まぁ、前夜祭みたいなものだし仕方ないかなって。真の戦いは次回ってことだよ」
「……でも、ガチャは本番なんでしょう?」
「エレシュキガルだよ? 回すしかないでしょ」
「そこで回しちゃうからメルトが来ないんじゃないの?」
「エウリュアレが的確に傷を抉ってくるんだけど!!」
じたばたと暴れるオオガミ。
しかし、縛られているのでぐるぐるとその場を回っていた。
それを見てエウリュアレはため息を吐き、
「別に、自力で解けるでしょ? 早く降りてくれば良いじゃない」
「良いの?」
「そうね……そろそろ来る彼女をその状態で迎えるって言うなら良いんだけど」
エウリュアレがそういった直後、素早く縄を解いて降りるオオガミ。
そして、それとほぼ同時に開く扉。
「バンカーボルトっ! 覚悟してください先輩!」
「最近のマシュはすぐ怒るなぁ全く!!」
お前が原因だと突っ込みたい一同。
しかし、オオガミに振り下ろされた盾の一撃はわりと力がこもっていた。
「石は貯蓄! 良いですね先輩!」
「絶対にNO! 使いたいときに使うのが一番だよ!」
「だから毎度メルトさんの時に石が枯渇して泣くことになるんじゃないですか! 学習してください!」
「止めたければ力づくで止めるんだな! ってことで逃げる!」
「今日こそ逃がしません!」
逃げ出すオオガミと、全力で追いかけるマシュ。
それを見送ったエウリュアレは、
「まぁ、いつも通りよね。気にしないでアップルパイ食べちゃいましょ」
「これがいつも通りとは……カルデア……思っていたよりも恐ろしいところなのでは?」
「今はシャドウ・ボーダーだがな。ただ……うむ。料理がうまいとは言っておこう。きっと感動するものがあるだろう」
「万能料理長のエミヤ、副料理長のキャット、お菓子のマスター。大体こんな感じよね」
「えぇ。でも、最近普通の料理も時々出してくれるわ」
「……ついに本格的に料理にまで手を出し始めたのね……」
アナスタシアからもたらされた情報に、エウリュアレは遠い目をするのだった。
こういうところで回すからダメなんじゃないですかね(自問自答
というか、オオガミ君の出来る範囲が徐々に広がっていってるんですが。